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CULTURE

渋谷ワイン散歩No.1 渋谷生まれの社長が推す ストーリーのあるスペインワイン

真っ赤な太陽、闘牛にフラメンコ。情熱の国スペインでつくられたワインの一番の特徴は、「日本人の口に合うこと」。意外な太鼓判を押すのは、創業25年のスペインワイン専門商社、スコルニ・ワインの社長、山村健児さん。

ワインには、語られるべきストーリーがある。飲んで美味しいだけじゃない、スペインワインのご紹介です!

青山のオフィスのテイスティングルームにて、笑顔が素敵な山村社長

青山のオフィスのテイスティングルームにて、笑顔が素敵な山村社長

デザインも美しいピンク色の瓶は、スペインのスパークリングワイン、“カヴァ”。山村社長は手慣れた様子でシャンパングラスに注ぎます。

「今年の3月に新発売の、オーガニックのカヴァです。マルケス・デ・グリニョンという老舗のワイナリーさんですが、ここは侯爵の爵位を持つ貴族なのです。創立者のカルロスさんが一昨年コロナで亡くなり、今は娘さんが継いでいるのですが、このカヴァはお二人で手がけた、お父さん最後の作品となりました」

最後の作品は、その名も「バラ色の人生」。フローラルな香りのロゼをいただきながら、スペインワインについて伺いました。

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「ラ・ヴィ・アン・ローズ」チェリーやフランボワーズのアロマながら、ドライなカヴァ

遠くて近い国。日本とスペインに共通する「食文化」

「スペインワインの特徴として一番にお伝えしたいのは、日本人の口に合う、日本的なワインということです。」

予想とは異なる、意外な視点です。

「その理由は食文化にあります。スペインには、海の幸も山の幸もあり、ピンチョスに代表される小皿料理にお米料理のパエリアがある。味つけも日本に似ています。
ワイナリーは料理に合うようにワインをつくります。食文化が似ているので、ワインも日本人に合うのです。」

確かに、日本人の食といえば、島国ならではの豊富な魚介類、ご飯を主食に野菜中心のお惣菜。外国人も絶賛の、質の良い和牛もあります。

「レストランもそうです。フレンチでもイタリアンでも中華でも、つくるのは日本人なので、日本人の味になっています。海外の友人が遊びに来て、フレンチレストランに連れていくと、フランス人ですら、寿司以上に日本のフレンチを喜びますから」

そして、品質と美味しさに対するコストパフォーマンスの良さは、ヨーロッパにおけるスペインワインの常識だと山村社長は仰います。

「フレンチ、イタリアン、和食など、星つきのレストランのソムリエさんに当社のワインを試飲していただき、その後で価格をお伝えすると、皆さん本当に驚かれます。『こんなに安くていいの?』と。新規でお越しいただいた方とは、100%取引が始まります。」

普段の家の食事でも、高級レストランの外食でも。遠い異国のスペインワインが、少し近しい存在に感じられてきました。

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夜のBBQにおすすめの白ワイン「ビニャ・プエブラ フェルメンタード・エン・バリッカ」

創業25周年のスコルニ・ワイン 伝統に重ねる新社長の改革

そもそもスコルニ・ワインさんはどのような経緯でスペインワインを扱うようになったのでしょう?

「スコルニ・ワインの創業は30年前にさかのぼります。当時のスペイン大使の「日本でも美味しいスペインワインが飲みたい」という要望に、創業者である現在の会長が手を上げ、すぐにスペインに飛びました。現地のワイナリーを巡り、輸入を始めたのが最初です。」

何社ぐらいのワイナリーから仕入れているのでしょうか?

「現在40社ですね。全て直輸入、基本的に当社だけが扱っているワインで、他では飲めません。

毎年入札で取引先が変わるフランスと異なり、スペインには情があるというか、一度取引が始まるとどちらかが止めようと言うまで、長く関係が続く傾向にあるようです。実際、30年来おつきあいがあるワイナリーからの信頼は厚く、倉庫の合鍵を持っていたりします。」

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テイスティングルームで出番を待つ、全て直輸入のワイン達

今回訪問したオフィスは瀟洒な青山のマンションの一室。机が並ぶフロアで仕事をされている皆さまはなんだか楽しそう。お話を伺ったテイスティングルームは貯蔵庫も兼ねていて、デパートのイベントの準備をするスタッフの方が忙しそうに出入りされていました。

「私が会社を引き継いだのは、昨年の1月です。すぐに引っ越しを決めて、ここ、青山にオフィスを構えました。私はもともと渋谷が地元なのです。神山町で生まれ、育ちも渋谷です」

ワインとは異なる業界の会社をいくつも経営されてきた山村社長。30年の実績があるスコル二・ワインを手がけることに躊躇はなかったのかを伺いました。

「継ぐにあたり、試飲しました。飲んだワインが全部、全部美味しかったのです。ワイナリーに恵まれている。運が良いと思いました」

品質の良いワインがそろっていることが伝わってきます。美味しいばかりか、スペインのワインはオーガニックが多いそうです。

「スペインは昔ながらの農法でぶどうを栽培しているワイナリーが大半で、そもそも農薬を使っていないことが多いです。
ただ、オーガニック認証の取得にはお金がかかります。マークはないけれどオーガニック、というワインはよくあります。飲んでみて美味しかったワインがオーガニックだった、そんな事情から、当社のオーガニックワインは味がしっかりとしています。」

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ラベルが美しい、ヘレスのシェリー1822シリーズ

おすすめは「姉妹のワイン」実在の女性たちに思いを馳せて

美味しくて高品質。スペインワインが秘める底力を感じたところで、おすすめのワインを伺いました。紹介していただいたのがこちら、女性の顔が描かれたカラフルなエチケット。

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美しい笑顔。味わいもそれぞれ個性的な「ラス・エルマーナス」

「こちらは、ボデガス・ルソンというワイナリーのラス・エルマーナス、『姉妹のワイン』という意味のシリーズです。戦争があると男性がいなくなり、ワイナリーの面倒を見るのは女性。各時代でワイナリーに貢献した女性たちをモチーフにしたワインです。」

実在した6名の女性に敬意を表し、笑顔の似顔絵がラベルに描かれています。ひとりひとりの人生。ここにもストーリーがあります。

「ぶどうのフレッシュな味わいを活かしたスッキリ飲みやすい白がAmparo、樽香が好みであればこちらのMaria、チョコレートにも合うワインです。」

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スコルニ・ワインさんは、ワインの他、シェリー酒やオリーブオイルも扱われています。

「オリーブオイルは先ほどのカヴァと同じ生産者、マルケス・デ・グリニョンです。ワインよりもオリーブオイルの方が歴史は長く、亡くなったカルロスからは、祖先が戦争でフランスに行ったときに枝を持ち帰ったのが始まり、と聞きました。」

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背の高い瓶がオレウム・アルティス(ラテン語で「オイルの芸術」の意味)

日本のオリーブオイルコンテストで毎年入賞しているオレウム・アルティスは一推しです。グリーンのフレッシュな味わいは、パンに垂らしてワインのお供に。お勧めです!

スコルニ・ワインさんのワインやオリーブオイルはオンラインショップで購入できます。注目したいのはサイトで読める「スコルニ・プレス」。ワインの楽しみ方やワイナリーの歴史など、詳しい解説が目白押し。ワイン好きな方はメールマガジンも要チェックですよ。

スペインワインといえばスコルニ・ワイン。目指すはナンバーワン

最後に、今後の展望をお伺いしました。

「スペインワインといえばスコルニ・ワイン、という国内でナンバーワンの会社にしたいですね。スペインワインの素晴らしさも知っていただきたいですし、そのために、直営の路面店を出したいです。奥渋の方で、ピンチョスと一緒に楽しんでいただけるようなお店が理想です」

山村社長はさすが渋谷の地理にも詳しく、代々木公園の第2公園の辺りの物件を探していらっしゃるそうです。一足先にスペイン料理とのマリアージュを楽しみたい方は、渋谷スクランブルスクエアのスペイン料理店 Jose Luis(ホセルイス)さんでいただけるそう。ぜひ足を運んでみてくださいね。

生まれも育ちも渋谷の山村社長はやっぱり渋谷に戻られるのか、今後のご活躍が楽しみです!

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株式会社スコルニ・ワイン
Su Koruni Wine Co., Ltd.
https://sukoruniwine.com
お問い合わせ
 03-6812-9860
 hola@sukoruni.wine
Instagram:https://instagram.com/sukoruni_wine
オンラインショップ:https://sukoruni.wine/

 

谷井百合子(たにい・ゆりこ)

taniiyuriko会社員からライターへ転向。腰の軽さと興味に乗っかる行動力で、ビジネストレンドやブックレビュー、食や旅にも題材を広げている。
興味のあるジャンルは、カフェ、本、料理、工芸、建築、など。渋谷界隈で出会った美味しいものや素敵なものを、テンションの上がった気持ちものせてご紹介します。

 

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