渋谷一駅散歩とは
「渋谷一駅散歩」というお散歩マップをご存知でしょうか。「渋谷の魅力を歩いて発見してほしい!」と、東京商工会議所・渋谷支部が作成し、ウェブ上で公開している全10コースのマップです。渋谷には世界的、全国的に有名なスポットがいくつもありますが、それ以外にも、お散歩だからこそ出会える路面店や特色ある商店街、歴史・文化的施設、公園の緑など、魅力あるスポットがたくさんあります。そんな魅力をもっともっと知ってほしいという思いで作られたマップなのですが、実は、この「シブヤ散歩新聞」も同じ思いで作られている東京商工会議所の取り組みなんです! 今回の連載では、「渋谷一駅散歩」のルートを実際にお散歩してみました。ぜひ参考にしながらも、ご自分だけの一駅散歩を楽しんでみてください。
「そういえば、東京オリンピックってどこでやるんだ?」から始まり、お友達のMさんと一緒に歩く休日さんぽ。
前編に引き続き、私たちのお散歩風景をお届けします。
和が彩る、茶室・「五庵」
横断歩道を渡るまえ、Mさんと「アレ、なんだろうね?」と言い合いながら近くまで来てみるとビックリ。宮崎駿作品に登場しそうな、外観がグリーンで覆われた家のような何かがありました。
近くのスタッフさんに話を聞いてみると、「パビリオントウキョウ2021」という新国立競技場を中心とした各地で建物やオブジェを設置するイベントなのだとか。
スタッフさんの勧めで、実際に入って中の造りを見させてもらったり、2階の茶室を覗かせていただいたりとかなり堪能させていただきました!
説明書きを見ると、こちらの茶室「五庵」は建築家の藤森照信さんの手掛けたアートだそうで、自然と建築が一体となった作品をつくられる方みたいですね。
内部の木でつくられた温かみや茶室空間のアートは、建物のなかにいる時とは違った自然の豊かさを体感しました。特に、五庵の2階から眺める国立競技場は景観がすばらしく、大勢の人に見てもらいたい景色です。
しばらく眺めた後、「オリンピックを契機に街も動いているんだなあ。」とぼんやり考えながらMさんと歩を進めました。
謎の自販機
またしても見慣れない光景に足を止める私とMさん。
ただの自販機、なのですが屋根に絡まったツタが自然と機械のミスマッチを生み出していて、もはやアートの域に感じる…。
「この辺、おもしろそうな予感がする。」「行ってみよう!」とノリノリで自販機の横にある細道を進んだ結果、さらなる謎に直面することになります。
見え隠れするアートたち
予感は見事に的中。歩くたびに次から次へと「何これ??」と驚愕するものが出現しました。
例えば、線路を歩いている人の絵だったり。
スプーンを模した人間だったり。
ポツンと立っているお坊さんだったり。
「どうしてこんなところにこんなものが??」と思わずクエスチョンマークが浮いてしまう物体があちこちにありました。
壁には、可愛らしいかえるの絵が描かれていたりしてニッコリ。壁面に書かれていた「Kaeru Cafe」の文字を見て、どうやらお店であることを知りました。
お店は開いていませんでしたが、中を少し覗くと小さな桶が。
いち早く「おたまじゃくしだ!」と気づいたMさんと水面を眺めてみると、おたまじゃくしやタニシが水草と一緒にユラユラ動いていました。小学生の頃に戻ったような、どこか感慨深い気分。
「今度は店内で眺めたいな。」と思いながら、また道なりに進みました。
ペンギンギャラリー
「ペンギン!!!!」
Mさんの声に驚いて見てみると、建物の中にたくさんのペンギンが…!
一緒に入ってみるとさらにペンギンだらけ。どうやら、様々な作家さんがつくった「ペンギン」を題材にした作品が集められたギャラリーだったようです。
ペンギンが好きなMさんと飾られたイラストや色々な素材で作られた像を眺めていると、夏なのに涼やかな気持ちになりました。
深まる謎、あちらこちら
千駄ヶ谷から原宿に向かって歩くMさんと私。進んでいくにつれて、住宅街の景色から店やビルが立ち並ぶ通りに面するようになりましたが、まだまだ千駄ヶ谷ワールドは健在の様子。
遠目から見える、屋根から植物が生えていて大きな建物。気になって近くまで来てみると、なんとカレー屋さんでした。
「このビジュアルでカレー屋さん…?」「外観だと飲食店には見えなかった!」と話しつつ、来た道に引き返して進むととまたも気になる物体が。
「またかえるだ。」「今日はかえるに縁があるね!」と言い合いながら、ガラス張りの向こうに佇む2匹のかえるを眺めます。
「ひょっとして親子なのかも。」なんて考えながら、また歩を進めます。ちょっと歩いただけでも思わず足を止める何かがある街です。
営みとアートが溶け込んだ街
JR原宿駅周辺にたどり着き、長い散歩もいよいよ幕を閉じます。「原宿に来ると必ず食べる」との言葉にしたがって、竹下通りのクレープ屋さんで糖分を補給しながらひと息。
Mさん「お散歩、どうだった?」
私「住宅街のなかに、お洒落な建物や「アレ?」って不意に思うなにかがたくさんあって面白かった!」
今回2人で歩いた道には様々なアートが多く、ささやかな発見を日常の小さな喜びにつなげてくれる愛おしい街だと感じました。もちろん、私たちが見たものは魅力のほんの一部でしょうから、実際に歩いてみてアートなsomethingを探してみてください。
【店舗情報】
GALLERY HIPPO
住所/東京都渋谷区神宮前 2-21-15
TEL/03-3408-7091
http://www.gallery-hippo.com/
空峯千代(そらみね・ちよ)
ノラねこクリエイター。「心に素直であること」「常にクリエイティブであること」「己の美学に則ること」を信条としています。 ライティングをメインに、場所や事柄にとらわれず、”Interesting”を追い求めて仕事を請け負います。現在、ゲストハウスで生活中。
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