マントラって知ってますか?
「よくわかんないけど、なんか唱えるやつ?」
そう、それです! このマントラを唱えながらの瞑想がマントラ瞑想で、最近では「音のヨーガ」とも言われてます。
昨夏、日本初のレギュラークラスとして中目黒のスタジオに登場して以来、リピーターが続出。人気の秘密はマントラを唱えることの心地良さ、続けていると効果や自分の変化を実感できること、そしてなんといってもダケ・アヤナ先生の魅力です。
見ての通り、若いです。若くてキュートですがヨガインストラクターであり、ミュージシャンであり、世界初で唯一の「音のヨガ」ヨガアライアンス認定講座にて講師を担当している”先生の先生”。アヤナさんの手にかかれば、難解そうな宇宙の始まりやインド哲学、精神論までが、誰でも「ああ、そういうこと!」「なるほど!」とうなずくくらい、わかりやすく身近なものになっちゃうのです。
しかも、寝ながら授業を受けてもオッケーだし、何か食べながら受けるのもありで、さらにはクラスの間に下ネタも飛び交ったりしちゃうとか。なんだ、なんだ!?
というわけで、参加してきましたよ!
場所は、中目黒駅と池尻大橋駅の間くらい、山手通りから1本裏に入ったところにある Under the Tree nakameguro。火曜日の夜7時30分からのクラスなので、裏通りに輝くイルミネーションが目印です。
今夜のクラスは、これですね!
週に一度の大人の学校「音のヨーガ・マントラ瞑想」
ヨガクラスやオーガニックをテーマにしたイベントをやったり、レンタルスペースとしても貸し出しているこの空間は、全てがオーナー遼さんの手作り!
人工芝が敷き詰められ、天井にはテントの帆布が貼られ、照明も暖かくほっと癒される。緑あふれるテラスにはハンモックがぶら下がっていたり(今はお休み中です)、冬にはこたつが登場したりと、また帰って来たくなる空間です。
さて、本来のクラスは19:30からですが、今日は私を含めて初参加の人が4名いたので、30分早い時間から「補講」をやってくれました。初めての人でも安心してクラスに参加できるように、とのこの計らい、うれしいですよね。アヤナさんの人柄がよくわかります。
まずはアヤナさんからクラスでのルールを伝えられました。
「先生に気を使わない。タメ口上等。遅刻早退OK。寝たかったら寝てOK。お腹すいたら食べてOK。でもポテチをバリバリやると、ちょっと隣の人がつらいかな~。でも、私は何をしても傷つかないから平気」と。こんな風に言い切ってくれる先生、なかなかいませんよね。
これらのルールは、「こうしなくちゃいけない」「~~すべき」といった外側の価値とつながるのをやめるため。たしかに私たちは気付かないうちに、立場や役割、性別や年齢で、自分を勝手にがんじがらめにしちゃいがち。クラスの間はそれを取っ払って、自分の本当の気持ちとつながるための練習をする時間でもあるのです。
「女の人、道歩きながら鼻ほじらないでしょ。女なのにやっちゃダメーって。このクラスの間では、そういうの全部やめましょう!」とアヤナさん。
はい! でも、やっぱりみんなの前で鼻はほじりませんけど(笑)
ルールを確認したうえで、補講の開始。アヤナさんは、私たちはいつも自分の外側にあふれる情報にさられて、体は使ってないのに脳と精神だけがビンビン反応して神経が重労働状態、心が過酷な労働状態になっていること。外側の価値観に合わせて生きているから、自分の内側、つまり本当の自分と分離してしまっていること。マントラを唱えると、意識が内側に向き、だんだん本当の自分とつながっていくことができることーーを説明してくれました。
そして、マントラを唱えられるようにまずは、日本語の「あいうえお」にあたるサンスクリット語の5つの母音の発音を練習していきます。
首やアゴのあたりに手を触れながら発音すると、「声って、振動として自分の体にこんなに響いてるんだ!」という新鮮な驚きが。マントラを唱えている間のこの骨振動が、脳、そして脊髄に伝わっていくんですね。
「ア、アー」「イ、イー」と、ただ5つの母音の発生を練習しているだけなのに、音の振動を繊細に感じていると自然と心が鎮まっていきます。すでに、心地いい。
さあ、そうこうしているうちに本来のクラスの開始時間になり、続々と生徒たちが集まってきました。毎週通っているメンバーには、アヤナさんから「どーお? 最近でも、今日でも、どんな感じ?」と問いかけがあり、みんな、それぞれ心の調子を話してくれます。
さすが常連メンバーたち。いろいろ感情の起伏があっても、それを「今は下がってるけど、いつか上がるよね」という感じで落ち着いて客観的に見ている姿が印象的で、これがマントラの効果なんだろうなというのを感じさせてくれます。
「相手が同じことをしたとしても、興奮してる時とリラックスしている時では、人の行動はまるっきり変わるじゃない? 『てめー、このやろー!』ってカチンときちゃう日もあれば、『そんなことまでしてくれるの?』と感謝できる日もあるよね。マントラの練習で、リラックス状態にいられるようになるの」とアヤナさん。
すっごくいいことを言ってるのに、「てめー、このやろー!」と言いながら、生徒さんの胸ぐらをつかむアヤナさんがクスっとおかしくて。こんな感じで説明してくれるから、みんなが「うん、あるある」と、すごく共感しやすいんだろうなとしみじみ思います。
いよいよクラス本番。アヤナさんはよくヨガで言われる「宇宙との一体感」「一元論」についてとてもわかりやすく説明してくれました。なんでマントラを唱えるのか、というところにつながる大切な部分。このあたりの話が苦手な人でもスッと受け取れるぐらい、かみ砕いて話してくれます。ここはぜひ、足を運んで自分の耳を傾けて聞いてほしいです。
そしていよいよ、マントラへ。この日、みんなで唱えたマントラはシヴァマントラ。「シヴァ神」というインドの神様の名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、そのシヴァ神を讃えるお祈りの言葉です。普段、気付かないうちに繰り返してしまっている思考パターン、例えばできなかった自分を責めてしまうとか、心配しすぎて動けなくなるとか、やめたいのにやめられないなど、そういう思考パターンを崩すのに役立つそうです。
Auṁ Namaḥ Śivāya
カタカナで書くと オーム・ナマ・シヴァーヤ となるのですが、英語と同じでカタカナでは正しく伝えられないのが残念。この発音ももちろん、アヤナ先生が舌を置く位置から唇の使い方まで、丁寧に教えてくれます。これを理想的には108回、続けて唱えるのです。
アヤナ先生いわく、マントラを唱えることは、ラジオの周波数を合わせるようなもの。自分の周波数を外側に合わせるのではなく、音の力を使って本当の自分へとチューニングしていく、合わせていくということだそうです。
「そうすると、ちょっと大変な状況になっても『なんかチョロくね?』『どうにもならないと思ってたけど、ドアそこにあんじゃね?』と思えるようになってきます」と。アヤナ先生らしい言い回しに、みんな笑みをこぼしつつ、「なるほどー」「うん、うん」と。
数回ゆっくりと練習した後、いよいよみんなで唱えます。今日は時間がないので108回はできませんでしたが、最初は声を出して→だんだん小さく→音を出さずに空気を出す→唇の動きだけ→心の中で と唱えていきます。
実際にその場にいると、みんなで唱えることによる一体感というか、それによる集中をすごく感じられます。唱えた後、少しの間目を閉じたまま静かな時間をそれぞれに過ごすのですが、初めて参加した方たちも、しばらくの間、唱えた後の静寂の中に浸っていました。私自身は何度も108回唱えていますが、唱えた後の静寂の時間は、もうそこから抜け出したくないくらい心地よいものです。
常連さんたちは「マントラ続けて急に性格が良くなった、なんてことはないけど(笑)、視線をクルッと変えられるようになった」「客観的にみられるようになった」と言います。人生はジェットコースターのようにアップダウンがあるけれど、ジェットコースターの座席でそのアップダウンに振り回されるのではなく、ジェットコースターに乗ってる自分を客観的に、余裕を持って見つめられるようになる、ということなんですね。時にジェットコースターに乗っちゃっても、それに気づくことができるようになる。そうすれば、降りて客観的に見つめ直すことができるというわけです。
さて、クラスの後には毎回お茶タイム! お茶を飲みながらアヤナさんに質問をしてみたり、下世話な話もしてみたり。今日は自然栽培のブドウジュースまで差し入れてもらい、ブドウ本来の濃い甘さを味わいましたよ。
そして、まだ時間のあるメンバーは、アヤナさんと一緒にインドカレーを食べに出かけていきました。私も行きたかったー!けど、実は8歳&6歳の子供二人と一緒に行っていたので、そそくさと退散。
子供たちは同じ場所でiPadで映画を見ながら、フルーツ食べながら過ごしていたのですが、アヤナさんや参加者の皆さんがかまってくれ、話しかけてくれるので、とても居心地が良かったみたい。「ここ、また来てもいいよ♪」と言っていました。子供はこういう時に自分の心にウソをつかないので、本当に居心地が良かったんだろうなと思います。誰でもあたたかく受け入れてくれるのが、このクラスです。
マントラに興味を持った人はもちろん、アヤナさんに会ってみたくなった人、ぜひ火曜日の夜に気軽にのぞきに行ってみましょう!
【店舗情報】
Under the tree nakameguro
東京都目黒区東山1-9-14-202
TEL/080-7933-6897
営業時間/9:00~22:00
http://www.utnakameguro.com
【講師情報】
ダケ・アヤナ
ミュージシャン。ヨーガインストラクター。
2015年 アーナンドラ・ジョージと共に、世界初の試み「音のヨーガ・マントラ・哲学に特化した特別ヨガアラインス認定講座HEART OF SOUND RYS」を開講。
https://www.facebook.com/wisdom.tokyo/
平地紘子(ひらち・ひろこ)
フリーライター/ヨガインストラクター。10年以上お堅い新聞記者だったのに、3年間のアメリカ生活でヨガインストラクターに転身。でもやっぱり、書くのも好き。かなり色黒なので「サーファー?」と聞かれるけれど、見かけ倒し。スッピンのまま自転車で中目黒界隈を駆け抜けているだけです。ヨガウェアで魅せる筋肉美が最近のプチ自慢。フィットネスやマッサージなど、体にいい情報をお伝えします!
yoga teacher HiRoko HiRachi