SHIBUYA×CLOTHINGとは
シブヤらしいファッションってなんだろう。
シブヤのリアルクローズってなんだろう。
ただの普段着じゃない。でも、堅苦しくない。
現実離れしたデザインも、今の気分じゃない。
自分らしく、自然に。でも、密かなこだわりをもって。
シブヤ散歩新聞では、「SHIBUYA×CLOTHING」をテーマに
渋谷発のアパレルメーカーを通して、
シブヤのリアルクローズに迫ります。
アパレルの縫製業に一石を投じたい
「熟練した職人の技術」。日本製といえば、よく見聞きするのが、この言葉ではないでしょうか。アパレルの世界でも、生地の手触りや着心地の良さなどでそれを実感する人が多いようです。
しかし、今、海外生産が増えていることもあり、その技術を支えている縫製業で高齢化が進み、工場も縮小傾向にあるそうです。ご存知ですか?
そして、「その状況に一石を投じたい」と行動を起こしているブランドもあります。カットソーを中心に展開するbeau temps(ボータン)代表、益島伸一郎さんは、2017年6月、縫製ラボを仲間とともにオープンさせました。その名もINDICE(アンジーズ)。フランス語で「糸口」という意味をもつ言葉です。
「会社員時代は特に気にならなかったのですが、独立してからの約10年、身近なところで縫製工場が次々に廃業していったんです。3年後、5年後、果たしてどれだけの縫製工場が残っているだろうか、そんな強い危機感が湧いて、僕と同じ生産を生業としている仲間と4人で縫製ラボINDICEを立ち上げました。このままだと作ってくれる工場がなくなると。実際、若手と言われている方が60代なんですよ」
縫製スタッフには、後輩や仲間の紹介をメインに、すでに縫うスキルがあって、益島さんたちの思いに共感してくれた人を採用。ミシンや手で服を作ることに思いのある人たちが集まった場所となりました。
メイドインジャパンの縫製工場を残したい
INDICEの大きな特徴は、まず賃金面にあります。
「縫製工場が縮小する理由の一つに、賃金の問題があると思っています。だから賃金面では、通常の縫製賃金よりもしっかりとお支払いする予定です。INDICEは基本的にサンプル工場なんですけど、何か先につながることができたらと思っています」
INDICEで働いているスタッフも、新しい技術を身に付けたら、その後は自由に巣立って行ってもいい。自分で縫製工場を立ち上げてもいいし、地元の工場で縫製をしてもいい。そう考えているそうです。
「働いている人たちが、『ここの仕事っていいよね』『縫製の仕事って、縁の下の力持ちだけどかっこいいよね』って思ってくれたら。そんな風にしながら、メイドインジャパンの縫製工場を残していけたらいいなと思っています」
働く人にとっては、縫製職人としてのキャリアを磨く上でも、大きな意味をもつこの縫製ラボ、INDICE。取り扱う素材の1つにはデニムがあるのですが、益島さん曰く、「その縫製工場の代表が作るデニムは超一流」。その技術を身に付けるチャンスももてるのです。
「でも、その縫製工場は後継者がいないという悩みを抱えています。メイドインジャパンのデニムは、世界でもひとり立ちできるほど広く認められているのにです」
「全体的にも、日本製に対する信頼度は高い。生地への気の使い方とか、裏のしまつの仕方とか、随所に日本人の気質が出るんだと思います。職人気質というか。基準もほかの国に比べて厳しい。消費者の目が厳しいことも理由にあると思います」
品質の高さが世界でも認められているメイドインジャパンの服。たとえば、ファッションショーへの出番も多々あり、縫製職人にとっては、自分の仕事を誇りに思う場面のひとつになっているようです。
「メイドインジャパンってやっぱりいいと思うんですよ。アパレルの縫製業はゼロにはならないと思うんですけど、基本的にはどんどん少なくなる。それを止めるのは難しいだろうと言われている中で、僕らがやっていることは本当にちっちゃなことかもしれない。でも、今のアパレルの縫製業に対して、多少なりとも一石を投じられたらおもしろいだろうなあとどこかで思っています」
縫製工場の閑散期対策に取り組む
INDICEでは計画していることがあります。それは、縫製工場の閑散期対策。
「メイドインジャパンの工場を残したいと動いていたときに、繁忙期と閑散期の課題に直面しました。縫製工場のほとんどは、仕事の納期が一時期に集中し、その波が過ぎると依頼が激減します。年間を通して一定の依頼が欲しいのは、縫製工場だけでなく、どの生産工場も同じ」と益島さん。
「そこで、閑散期対策につながる新しい取り組みができないか、INDICEのメンバーと議論を重ねました。その中で出てきたおもしろいアイディアを現在、ある工場に打診しているところです。まだ検討中なので、残念ながら詳細はお話しできないのですが、きっと、既存の縫製業界を驚かすプロジェクトになると思います」
どんな形で世に出るのか、注目です。
地に足をつけたことで勝負を
鹿児島県の奄美大島で生まれ育ったという益島さん。高校卒業と同時に上京、専門学校を卒業してから入社したインポート系のアパレル会社では、約19年間、渋谷区内に勤務。独立してからは、渋谷区神宮前にオフィスをもつなど、渋谷区内でずっと働いてきました。
そんな益島さんにとって、「渋谷はアパレルの人が集まる、アパレルが当たり前にある街」。
しかし、最近、渋谷のアパレル業界は低調だと言われています。そのことについては、「たしかに、元気がなくなっていると感じますね」と話します。
「というのは、僕が業界に入ったころは全盛期でもあったのですが、僕自身、ファッションが生活の中で大きな比率を占めていました。異性にもてたいとか、いい服を着たいとか。でも、今は、若い人たちが洋服にあまりお金を使わなくなっているように感じます。そういう時代になっているのかなと思います」
今後は、自身のオフィスとINDICEを拠点に、新しいチャレンジを仕掛けていく益島さん。INDICEでは、ワークショップの開催も企画しているそうです。
「幼稚園の手提げバッグを手作りするお母さん向けの企画や、父の日向けにデニムのエプロンを作る企画などを考えています。体験しながらINDICEや縫製業のことを知ってもらえたらいいですね」
「消費者の方とのニーズから大きくかけ離れたものをしてもしかたないと思うので、地に足をつけたことで勝負できたらと思っています」
と、益島さん。メイドインジャパンの縫製業や誇りを守りたいという益島さんの思いと行動は、きっと、アパレル業界に良い形で変化を与えてくれるはず。シブヤ散歩新聞でも、今後に期待しています。
【ブランド情報】
beau temps
東京都渋谷区神宮前4-13-1-301
090-5508-4809
INDICE
東京都世田谷区新町2-6-16
03-6320-1494
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10/9(月)は、て(10)く(9)てく歩く「散歩の日」ということで、今年も渋谷ヒカリエで“シブヤ散歩フェス2017”を開催します!
今年のメインコンテンツは、「渋谷アパレル散歩」。
現在、シブヤ散歩新聞で連載している「SHIBUYA×CLOTHING」。渋谷発のアパレルブランドを紹介&応援する本企画で取り上げた様々なブランドの展示・紹介を実施します。
また、「しぶキャラ散歩」として、昨年11月に実施した第1回しぶキャラ会議においてシブヤのキャラクター人気投票で見事1位に輝いた、原宿みっころが遊びにきてくれます! 会場ではみっころと一緒に記念撮影ができるほか、ノベルティグッズや各回50個限定でコロンバンの原宿焼きショコラの配布も予定しています! <来場時間:13:00 14:00 15:00(各回30分)>
そして、16:00からはシブヤ散歩トークセッション!
元AKB48の平田梨奈さんをお迎えして、シブヤ経済新聞の西編集長、シブヤ散歩新聞の界外編集長とともに、散歩をキーワードに渋谷の街やファッション等について語っていただきます!
10/9(月)は、ヒカリエでシブヤの魅力に触れてみませんか。
【イベント情報】
2017年10月 9日(月)
12:00〜17:00
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=108056
(会場)渋谷ヒカリエ 8/
東京都渋谷区渋谷2丁目21−1 8F
東急東横線・田園都市線、東京メトロ副都心線「渋谷駅」15番出口直結
JR線、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」と2F連絡通路で直結
入場無料・事前申込不要
主催/シブヤ散歩会議(東京商工会議所渋谷支部)