自分好みの一杯を楽しめるお店
千代田線の代々木公園駅から徒歩3分。メニューがない珈琲専門店「ROSTRO」は2017年5月にオープンしました。
前編ではお店のこだわりとメニューにない珈琲とはどういうものなのかをお伝えしました。
後編は代表の清水慶一さんが珈琲を淹れる器と出会ったストーリーとなぜ珈琲専門店を開業しようと思われたのかを取材しました。
一期一会の器に込められた思いとは
器をどれにしようかと考えた時に、高級志向で無難なものだとHEREND。
問屋だと大倉陶園さんのものがありますが何か違うと思っていました。
自分の理想の形を作ってくれるところを探しがちですが、ここであるコーヒーカップ&ソーサーとの出会いがあります。
それは、岐阜県多治見市にある株式会社ナカヤマ。
一客試しに購入したところ質感が素晴らしく、業者さんへ発注したのですが看板を下ろしていたこともあり断られてしまいました。
そこで、ナカヤマに直接連絡をし現地に向かった際、ナカヤマの職人さんは珈琲にあわせたものを作るのではなく、自分達の理想を元に作り、取手は取手だけのメーカーさんにだすなど分業制だったそうです。
昔の職人さんは各々にこだわりをもち、効率よりも届けたいものを作っていましたが、今のメーカーが面白くないのは自分達で全部やろうとすること。
そんな職人さんたちの思いに感銘を受け、全てナカヤマのもので揃えることにしたそうです。
ナカヤマは中山保夫が約40年にわたり独自に研究を重ねたオリジナル食器を作ってきた会社。
シェープ(形)から図案、転写、焼成までの工程を研究し、美濃焼にはない優れたボンチャイナに金転写や金絵付を施し、その高品質の食器は高く評価され、1990年に100年ぶりに宮内庁から国内で初めて指名され納品したコーヒーカップ&ソーサーの会社だそうです。
店内においてあるものは一点一点が違う絵柄で、看板をおろしているため全て一点もの。店内に並べてある4倍くらいの器が在庫としてあるので、清水さんがその時々に応じて変えているそうです。
カップは珈琲職人がお客様のお好みの珈琲に合わせて選んでいるとのことでどれになるかはその日のお楽しみになります。
商品化するまでに3年かかったバタークッキー
店内で提供されているバタークッキーは店内で作り焼いているもの。
商品化するまでに試行錯誤を繰り返し3年の月日がかかったそうです。
珈琲にあうクッキーとして作られたものではなく、食べた時に「美味しい」と思ってもらえるものを作りたかったという清水さん。
口に入れるとバターの香りが広がり、甘さも控えめでサクサク感が半端ない。
思わず「美味しい」と声に出してしまうほどでした。
ROSTROを開業しようとした理由
前職は焙煎器のメンテナンスをされていた清水さんが何故珈琲専門店を開業しようと思ったのかインタビューしてみました。
今はどの業界も同じですが、お客様に向き合って仕事をしているところはなくなってきています。
珈琲業界はブームで、珈琲の大会を行なっているところで世界チャンピオンを決める審査員をしており、世界チャンピオンが日本人から選ばれたという達成感はありましたが、この先はどうなるのだろうかと思っていたそうです。
何故なら、世界チャンピオンになられた方のお店に足を運んでも、世界チャンピオンをとられた時の珈琲はメニューになく、このままだとお客様が期待を込めてお店に来てもらうことはなくなるのではないかと感じました。
美味しいものを提供するのはあたりまえで、売れるものを作るのではなく、お客様がその時の好みで飲んでみたい珈琲を提供し、この仕事が好きでやっているという志をもった若い世代と一緒にやっていくことをコンセプトにし開業されたそうです。
また、店を存続するためには若い人を育てる必要があり、経営を考えると飲食店の厳しさもありました。
店内で淹れる珈琲は一杯あたり15分がかかり、値段も開業当時は一杯650円。
現在は店内では1000円〜となっているため、1時間で一人が作れるのは4杯まで。
そこで、回転率をよくするために、店内だけでなく、テイクアウトやテラス席で楽しめる珈琲も提供することにしたそうです。
清水さんにとって飲食店の原点とは、学生時代にアルバイトをした地元の「うなぎ吉野」の教えからでした。
アルバイトがなかなか決まらず苦戦していた時に、吉野の焼き鳥のネギが美味しく、働いたら食べられるのではないかという軽い気持ちで面談のアポイントも取らずに14時に行くと一人だけお客さんがいて大将に怒られたそうです。
ランチが終わる時間に再度面接へいったところ、ありがたいことにその場で採用されたことが清水さんにとってのアルバイト初体験となります。
今から振り返ってみると大将は職人気質で厳しい方でしたが、そこでの経験が今の飲食に繋がり好きになったきっかけでもあると話してくれました。また、地元で何かやりたいという思いもあり、初めは珈琲豆の卸しだけでしたが、豆を卸していたレストランのオーナーさん達にお店をやったほうがいいと勧められる機会が増えてきたので、26歳の時から10年くらいはお金を貯めながら実現したそうです。
ROSTROのスタッフに採用されるためには、面談の後に7回にわたる練習と試験がありますが、一番大切なことはお客さまと向き合っているかどうか。面談にこられた方は不採用だった場合でも再チャレンジされる方が多いそうです。
次世代に繋げるための珈琲専門店。
ぜひ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
【店舗情報】
ROSTRO
住所/〒150-0001 東京都渋谷区富ヶ谷1-14-20 サウスピア1F
TEL/03-5452-1450
営業時間/
平日 7:30〜20:00
火曜日 7:30〜17:30
土日祝日 7:30〜20:00
モーニング 8:00〜11:00
定休日/不定休
ホームページ/
https://rostro.jp/cafe/
坂本和保(さかもと・かずほ)
オンラインセールスプロデューサー/Zoom講師歴7年
ママの笑顔は家庭円満の秘訣がモットー。オンライン講座やオンラインイベントを開催したい方をプロデュース。企画から運営までまるっとサポートしています。
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