突然ですが、皆さんはプレーパークというものを知っていますか。英語ではAdventure Playground、「冒険遊び場」と呼ばれている「遊び場」です。
特定非営利活動法人である日本冒険遊び場協会のHPによると、日本にある常設(週4回以上開かれている)の冒険遊び場・プレーパークは35カ所。そのうちの1カ所である「渋谷はるのおがわプレーパーク」が、代々木公園のすぐ隣にあるんです。
2020年第一弾の朝な朝な散歩は、子どもとともにお正月のプレーパークからスタートしました。
プレーパークで書き初め!外での書き初めは気持ちよかった
代々木公園駐車場の斜向かいにある「渋谷はるのおがわプレーパーク」に到着すると、日差しの中でなにやら子どもたちが作業している様子。近づいてみると、絵の具と書き初めの道具が。子どもたちが思い思いに創作をしていました。
途中、ひとりの子どもが「どこに絵の具を出して描いたらいいの?」と絵の具用のパレットがないことをプレーリーダーに質問すると、プレーリーダーがこう答えました。
「ぼくはこの紙に絵の具を出して描いたけど、君はどうしたい?」
少し考えたその子は
「ここに絵の具を出そうかな。」
とあまり人に迷惑にならなさそうな場所に絵の具を出して遊びはじめました。
近くにいたわたしは「こうしたら?」と自分の考えた方法を提案しそうになっていました。プレーリーダーの一言を聞いて、子どもが自分の遊びたい方法を選ぶってこういうことなのかもしれないな、と思いました。単純な提案ひとつでも、相手との関係によっては指示命令のようになってしまうこともありますよね。
プレーパークは、子どもも大人も自分の責任で自由に遊ぶ場所。自由のための責任をきちんと我がものとして考えるためにも、誰にも指図されないことが大切なのかもしれません。
わたしも外での自由遊びに敬意を評してこんな書き初めをしてきました。
それにしても、外での書き初めなんて41年の人生で初めてです。気持ちよかったー!
子どもの自由な発想を支えるプレイワーカーとプレーリーダーが支える遊び場
プレーパークにはプレイワーカーやプレーリーダーが常駐しています。子どもたちが自由に遊ぶための様々な仕掛けを、子どもと一緒に作ったり、安全を確認したり、プレーパークの広報活動をしたり、ハード面・ソフト面の両方でプレーパークを支えています。
訪れたこの日も、ブランコが欲しいという女の子の要望を聞いて、高い木の枝にロープをかけて、大人でもワクワクしてしまうようなブランコを子どもと一緒にあっという間に作っていました。彼らは決して子どもたちを「積極的に助ける」ようなことはしません。けれども子どもとともにいる。子どもにとっては、大人の力と知恵を持った頼りになる存在なのだなと感じました。
ブランコ作りの光景を見ていて、そういえば子どものころ、いろんなことをして遊んだけれど、秘密基地を作ってその中で友達と過ごしたことがあったなあ、楽しかったなあ、と、ふと思い出しました。雨漏りで中に置いておいた漫画がびしょ濡れになってしまったり、夏はびっくりするくらい蚊に刺されてみたり。秋には枯葉をたくさん持ち込んで布団に見立ててみたりしていました。
皆さんには秘密基地の思い出がありますか?
代々木公園では高校生が楽しそうに実験・・・これも遊びと言えるかも!?
プレーパークでひとしきり遊んだあと、代々木公園に向かいました。夏から季節を追って様子を見てきましたが、今は冬。どれだけの人がいるのだろう・・・と広場に到着すると、そこには凧揚げをする人たちがたくさんいました。
電線もない、車も来ない、全力で凧揚げを楽しめる場所って、そういえばなかなか見つかりません。凧揚げする親子を見ながら、お正月の運動不足にも代々木公園は最適だなとニヤニヤしながら芝生広場を歩いていると、不思議なことをしている若者たちが・・・!
話しかけてみると、スーパーサイエンスハイスクールに通っている高校1年生でした。
太陽光を使ってペットボトルのお湯を温める実験をしているとのこと。どのくらい温まるんですか?と質問すると、「これまでの実験で人肌くらいには水が温まることがわかりました、このくらいになるなら災害時にミルク用の水も温めることができるのではないかなと思っています。」という返答が。
子どもに授乳が必要だった頃を思い出して、とても嬉しくなったのでした。そして、災害時のために、自分もこの方法を覚えておこう・・・と思いました。
ノートを見せてもらうと、細かく10分毎に3時間の記録がとられています。太陽光といえばソーラーパネルが真っ先に思い浮かぶ社会になりましたが、こんなにアナログな実験を社会課題に結びつけている学生がいるんだなあ、となんだか豊かな気持ちにもなりました。何事も、基本の発想から枝葉が広がって技術は作られていくのでしょう。
プレーパークで自由な発想で遊ぶ子どもたちと、実験という手段でスケールの大きな遊びをする高校生。なんだか素敵な1年のスタートに、心が温まりました。
今年の朝な朝な散歩も、よろしくお願いいたします。
得原藍(えはら・あい)
理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web