実は、塀の向こう、階段を上がった場所にお寺が
渋谷区と目黒区の境目(区境)の近く、国道246と山手通りの交差点の近く、道玄坂上から10分ほど歩いたところに、日蓮宗の「大教寺」という立派なお寺があるのをご存知でしょうか?
中目黒駅方面から山手通りを歩き、国道246の下をくぐり抜け、富ヶ谷方面へと進んでみても、ブロック塀があるだけでお寺があることになかなか気づかないのですが、
もう少し近づいてみますね。
ブロック塀の上に、山門の屋根が見えました。
そして手前右手の石碑には「真如山 大教寺」の文字が。
ブロック塀沿いの階段を登ったところに、山門があります。
左右をビルに囲まれた、都心のお寺です。
中に入ると、正面に立派なご本堂。
左手には、竹林もあります。
渋谷はすぐそこ、というこの場所にお寺があったなんて。山手通りの塀の前を、何度も何度も自転車で通っていたのに、全く気づきませんでした。
山手通りを挟んだ反対側の建物から見ると、全体を望むことができます。さまざまな高さのビルが立ち並ぶ中で、ここだけ緑豊かなのがわかりますね。
実は首都高を走りながらでも、塀の上の山門を見ることができますが(笑)、運転中の脇見は危ないのでお気をつけください。
大教寺は、大乗院日達聖人が開山となり1645年に下高井戸に創建されました。正徳3年(1713)に下馬引澤(駒沢)へ移転後、明治28年(1895年)に今の場所に移転し、この立派なご本堂は二十数年前に建てられたそうです。
ご住職がアメリカと日本を行き来している理由とは・・・?
こちらのお寺の髙﨑哲堂ご住職は、毎月のようにアメリカと日本を行き来しているとのこと。その理由やアメリカのお寺の様子、ご住職が目指すお寺の姿などついて、ご住職にお話を聞かせていただきました。
ーー日本とアメリカを行き来しているとのことですね。
ご住職:私がアメリカのサンフランシスコにある日蓮宗の国際センターの所長も兼務しているので、アメリカと日本を行ったりきたりしているんです。妻と子どもたちはアメリカにいますが、私は1年の3分の2を日本で過ごし、3分の1はアメリカで滞在している形になります。
ーーアメリカにも日蓮宗の拠点があるんですね。ご住職はそもそもなぜ、アメリカへ行かれたのでしょうか。
ご住職:実は私はお寺の息子ではなく、結婚した妻の父親が大教寺の住職だったんです。そこで私が跡取りとして入り、日蓮宗のお坊さんになりました。
アメリカへ行くことになったきっかけは、身延山(山梨)での修行後、同期のお坊さんに「海外のお坊さんが少ないけれど、ならないか?」と声をかけらたことです。妻に相談したところ「行きたい」と乗り気になってくれたので、2005年にハワイへ行きました。
研修を受けてからマウイ島のお寺に10年いて、2016年からはサンフランシスコにある日蓮宗の国際センターの所長を務めています。コロナ禍もあってなかなか日本に帰って来られませんでしたが、大教寺の先代の住職が退任されたので、2021年末ごろからは日本とアメリカを行き来しながら、私が大教寺の住職も務めています。
ーーそんな経緯があったのですね。
ご住職:私は子どもの頃から、自分で決めるというよりは周囲の流れのままに生きてきたといいますか(笑) 群馬県の出身ですが、結婚してお坊さんになり、苗字も名前も変わってしまったので、名前だけでは地元の友達に気づいてもらえないですね。
MOCHI MACHINE に BON DANCE! アメリカのお寺は「とても楽しかった!」
ーーアメリカのお寺はどんな感じなのでしょうか
ご住職:私は昨年まで日本のお寺の経験がありませんが、海外のお寺は開放していたのでとても面白かったです。アメリカはクリスチャンの国なので日曜礼拝がありますよね。同じようにお寺にも毎週のように日系の方々がいらっしゃって手を合わせていました。なので、繋がりがとても強かったです。
また教会もそうですが、ファンドレイザーと言ってお寺の運営資金を作るために食べ物を作って売ったりする活動が活発でした。私自身も子どもたちを集めて書道教室や日本語クラスをやっていたので、そういう活動が楽しかったですし、そういうのがお寺だと思っていたので、大教寺の住職になってみたらアメリカのような活動がないのでちょっと寂しく感じています。
ーー私自身もアメリカのワシントンD.C.近郊で暮らしていた時、日本人の牧師さんがやっている教会の英語教室などに参加しては、ポットラック(持ち寄りパーティー)をしていた楽しい時間を思い出しました。
ご住職:アメリカではよくポットラックをしますね。ファンドレーザーでは、銘菓「ひよこ」のようなものや恵方巻きを作って売ったり、年末には餅をついて売ったりしました。「MOCHI MACHINE」という機械があって、それが6台ぐらい並んでフル稼働してましたよ。
ーーMOCHI MACHINE なんてあるんですね! それは知りませんでした。しかも6台もあるってすごいですね。
ご住職:ハワイには「BON DANCE」という文化もありました。日本の盆踊りですが、6月から8月にかけては必ずどこかのお寺で「BON DANCE」をやっていましたね。
週末を中心に、よく人が来ていたのに大教寺では誰も来ない日もあるんです。というのも、ここにはお墓がないので檀家さんがお墓参りにいらっしゃるということもないんです。ですのでこれからは、人が集まることを企画したいな、と考えています。
ーー具体的に考えていらっしゃることがあったらお聞かせいただけますか?
ご住職:本堂以外にも広いスペースがありますので、料理教室もできたらいいなと考えています。そして渋谷のオフィスが近いので、たとえば朝の間だけワークスペースとして貸し出すこともできるかな、なんてことも考えています。
ーー可能性はどれだけでもありますね! これから大教寺がどんな風に開かれたお寺になっていくのか、とても楽しみにしています。
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開かれたお寺への第一歩として9月中旬、ご本堂でヨガクラスがスタートしました。全国250カ所、都内では50カ所の寺社でヨガクラスを展開している「テラヨガ」(NPO法人 VYS YOGI 主催)です。
<後編>では、始まったばかりのテラヨガクラスの様子をお伝えていきたいと思います!
【大教寺】
〒153-0042 東京都目黒区青葉台4丁目7−7
TEL:03-3465-2353
【テラヨガ大教寺】
https://www.vysyogi.org/テラヨガに参加する-1/東京/目黒区-大教寺/
平地紘子(ひらち・ひろこ)
シブヤ散歩新聞・副編集長。フリーライター/ヨガインストラクター。10年以上お堅い新聞記者だったのに、3年間のアメリカ生活でヨガインストラクターに転身。でもやっぱり、書くのも好き。かなり色黒なので「サーファー?」と聞かれるけれど、見かけ倒し。スッピンのまま自転車で中目黒界隈を駆け抜けているだけです。フィットネスやマッサージなど、体にいい情報をお伝えします!
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