こんにちは!高校生ライターのたいちです。
渋谷川を「橋」でたどる今回の散歩。前半は港区境の天現寺橋をスタートし、並木橋までを歩きました。
後編となる今回は、渋谷ストリームから。再開発で大きく変わる渋谷駅周辺。川もまた変化しています。どのように変わっているのか、見て行きたいと思います!
渋谷ストリームに到着
並木橋を出てすぐ、渋谷ストリームに到着です。いま、この渋谷リバーストリート〜渋谷ストリーム周辺は、渋谷川を活用した街の再開発が進んでいるところです。これまで街の裏側的な存在だった渋谷川周辺に店舗や施設が集まり、賑わいを見せています。取材日にも、川が暗渠になるちょうど真上に白いテントが貼られ、カフェスタイルのお店が営業していました。この先さらに川をどう活用していくのか、楽しみなエリアです。
渋谷ストリームから先は渋谷川は暗渠になります。調べてみたところ、この先にいくつかの橋の跡が残っているらしいという情報を得たので、さらに進んでみることにします。ここから先は、地下にもぐった渋谷川の痕跡を辿る散歩になります。
渋谷駅を通って、宮下公園前の交差点を渡ると、「宮下橋」の碑があります。ここから先の渋谷川上流部は「穏田(おんでん)川」とよばれており、1964年、高度経済成長期の東京オリンピック開催を機に暗渠化されました。川の上は始めに歩道として整備され、やがて車も通れる道になったようです。
宮下橋を出ると、「キャットストリート」と呼ばれる道に入ります。この道には数多くの服屋、なかでもアウトドア系のお店や古着屋などが多く立ち並んでいました。訪れたのが土曜の昼間だったということもあり駅から離れたところでも人通りが多く、活気を感じました。
このキャットストリート、実は正式名称を「旧渋谷川遊歩道路」と呼び、れっきとした渋谷川の暗渠区間なのです。今ではオシャレなお店が立ち並んでいますが、道路の真ん中にある公園、都会の小道にしては若干広い道幅などに、現在も遊歩道の名残が残っています。
浮世絵にも描かれた穏田川
キャットストリートを進むこと7分、また古びた橋のようなものがありました。橋名板には「穏田橋」と書かれています。これもまた穏田川の名残でしょう。昔はおそらく橋のたもとにかかっていた橋名板は、いま、地元の方によって手入れをされた花壇の中で、花に囲まれています。穏田は現在の明治神宮前と渋谷の駅の間にありますが、ここは江戸時代から農村地帯が広がっていたようです。
(引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Waterwheel_at_Onden_LACMA_M.40.1.170.jpg)
葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つ「穏田の水車」にも描かれていました!
穏田橋を出るとすぐ、表参道のケヤキ並木が見えてきました。左には原宿駅、右には表参道ヒルズが見え、絶え間なく通行人が行き交うスポットですが、こんなところにも橋の碑が!橋の名は「参道橋」。明治神宮の3つの参道のうち一番のメインストリートとなっていた「南参道」が川を渡る橋だったことから名付けられた橋です。この南参道が、やがて「表参道」と呼ばれることになります。
ケヤキ並木を出て、少し延びる商店街も過ぎると一気に住宅街の雰囲気が色濃くなってきました。
住宅街を進むこと7分。「原宿橋」の碑を見つけました。
渋谷区境、新国立競技場に到着
原宿橋から5分程度歩くと、新国立競技場が見えてきました。「観音橋」や「外苑橋」など、交差点の名前にも渋谷川の痕跡を感じることができます。渋谷川が暗渠化された1964年、まさにここが東京オリンピックの中心地だったんですね。
渋谷川はその先、新宿区に入ります。渋谷川の水源は新宿御苑内の「下の池」。下の池は玉川上水に通じているそうです。
港区境の天現寺橋から新宿区境の国立競技場付近まで、渋谷川をたどる全行程6kmの旅になりました。
歩いていて、渋谷川の形をリアルに感じることができました。坂の合間をたどるような道筋に、川が渋谷という「谷」を作り、そこに街ができたことが改めて実感できました。
そして、暗渠区間にいまもなお、いくつもの川の痕跡が残っていたのもとても印象的でした。使われなくなった橋名板を大切に保存したり、碑として残すということは、川が流れていたことを記憶に留めておきたいという、地域の人たちの思いがあってのことではないでしょうか。地域の人たちに親しまれてきた渋谷川は、暗渠になってもなお、渋谷の街に存在し続けるのではないかと思いました。そんな川の姿をイメージしながら歩く、とても楽しい散歩となりました。
たいち
都内に住む高校生。渋谷では、買い物をしたり友達と会ったりしています。小さい頃から鉄道が好きで、今は、都市や交通について自主的に研究しています。鉄道の他には自転車や、路線バスも好きです。(移動が好きということかもしれません)。