今回お散歩するのは笹塚エリア。その中でも、甲州街道より北側の中野通り沿い。少し歩くと中野区に入る区界のあたりです。
子連れでも楽しく過ごせるようなスポットがたくさんあると聞き、2歳の息子とともにお散歩に出かけてきました。
<ササハタハツ散歩>とは
渋谷区主催の「まちづくりフューチャーセッション」を通じて発見したササハタハツ=笹塚・幡ヶ谷・初台地区の魅力をシリーズでご紹介するものです。ササハタハツを楽しめる散歩ルートとともに、たくさんの人に知ってもらいたい、訪れてもらいたいスポットを紹介していきます。
地域の人が顔を合わせる場所「Trois~とろわ~」
中野通りの渋谷区と中野区とのさかい目あたりからお散歩をスタート。笹塚交差点に向かって南下していきます。
すると間もなく右側にかわいらしいお店が見えてきました。
<焼菓子のお店「Trois~とろわ~」>
中に入ると、美味しそうで見た目も可愛いお菓子がたくさん並んでいます。
<看板商品のロシアケーキ。>
こちらは、ロシアケーキをメインとした焼菓子のお店「Trois~とろわ~」です。ロシアケーキは二度焼きが特徴のサクサク感のある焼菓子です。
「Trois~とろわ~」はロシアケーキを中心とした焼菓子の製造・販売を行う中山製菓の工場直営店。中山製菓は1952年に笹塚に創業した古くからササハタハツにある企業なんです。現在、工場は栃木県佐野市にありますが、本社は変わらず笹塚に。「お菓子作りを通して地域に貢献する」ということを目標に掲げているそうです。
工場直売ならではで、お菓子はどれもリーズナブル! 手土産などにもぴったりです。有料の化粧箱以外に無料の白箱に詰めることもできます。オリジナルのトートバックに入れてプレゼントなんていうのも素敵ですね。
<オリジナルトートバッグも販売されています。>
イートインのスペースもあり、トーストやハンバーガープレート、ロシアケーキの新しい食べ方を提案したパフェなどがいただけます。
<土台に砕いたロシアケーキが使われている「とろわパフェ」。>
<ゆっくりとくつろげそうな店内。>
<イートインのメニューが黒板に。>
イートインでいただける紅茶やコーヒーは、「地域社会に貢献したい」という想いに賛同したブランドのもので、コーヒーは軽井沢で人気の「ミカドコーヒー」。紅茶は紅茶職人村松二六氏による静岡県・丸子の「丸子紅茶 紅富貴(べにふうき)」。この紅茶が喫茶で飲めるのは、ここ「Trois~とろわ~」が都内初なのだそうです。
<コーヒー豆や茶葉は販売もされています。>
お店の中には、地域の方に向けたワークショップのお知らせが。
「Trois~とろわ~」では、このお店が地域の人が集まって顔を合わせる場所となるように、このようなワークショップを企画しているそうです。
朝9時からオープンしているというのもありがたいですし、駐輪場があるのもうれしいポイントですね。
私も焼菓子をたくさん買い込んでしまいました。
さて、お散歩再開です。
子どもがのびのび過ごせる渋谷区内唯一の「こども図書館」
「Trois~とろわ~」を出て中野通りに戻り、ほんの少し南に歩いたところにあるのが「笹塚こども図書館」です。「中幡・笹塚子育て支援センター」と同じ建物の中にあり、小さなお子さんを連れた方が多く訪れる場所になっています。
<正面が「笹塚こども図書館」の入り口。左側が「中幡・笹塚子育て支援センター」の入り口です。>
子どもに特化した図書館ということで、靴を脱いで入ります。赤ちゃんと一緒でも安心ですね。
<図書館を利用するための約束事。子どもにも読めるようひらがなで書かれています。>
<館内に入るとすぐ下駄箱があり、スリッパに履き替えます。>
本があるのは2階です。階段で2階に上がると3つのコンセプトに分かれたお部屋が。
まずは「もりのへや」。ここは乳幼児向けのお部屋でカーペット敷き。スリッパも脱いで入ります。
<「森」をイメージした雰囲気に。>
中に入ることができる小さなお家もありました。これは子どもに人気がありそう!
<この中で本を読むと集中できそうです。>
<授乳室もあって、赤ちゃん連れでも安心なポイントがいっぱいですね。>
次のお部屋は「きょうりゅうのへや」。
<天井に恐竜がぶら下がっています。>
こちらはお勉強などもできそうな、少し落ち着いた雰囲気のお部屋になっています。
最後は「ほしのへや」です。なぜ「ほし」なのかというと……。
電気を消すと星が浮かびあがるのです。
このお部屋では「おはなし会」などのイベントが行われています。ここにもカーペット敷きのスペースがあり、パパママ向けの雑誌などもおいてあります。
ここは図書館にきたお母さんどうしが交流できる情報交換の場にもなっているようです。子どもの年代に合わせて選定された「しぶや おすすめの本50」やおすすめの絵本もあるので何を読めばいいかわからないときは参考にできそうです。
<本選びの参考になるリーフレットをもらうこともできます。>
最近は活字離れなども心配されますが、お話をうかがった渋谷区立笹塚こども図書館館長によれば「本を読むことは勉強の基礎となる読解力をつけることに役立つ」とのこと。
想像力や集中力を育てることにも本を読むことは大事ですね。図書館を積極的に利用することで、子どもにもたくさんの本と出会える機会が与えられたらと思いました。
古くから笹塚の地を見守る「清岸寺」
図書館を出て中野通りをさらに南下していくと、お寺があります。
<中野通り沿いにお寺の名称が書かれた寺標が立っています。>
参道を上っていくと、本堂や観音像の並ぶ境内が目の前に広がります。今回、ご住職とご住職のお母様にお話を聞くことができました。
こちらの清岸寺の建立は1640年(寛永17年)。元々は参宮橋南側にあったのだそうです。1909年(明治42年)に現在地にあったお寺を吸収合併し、「法界山清岸寺」と改称されました。
境内の中にある史跡のうち、いくつかをご紹介します。
<魚藍観音>
藍とは籠のことです。魚の入った籠を持った観音様で、渋谷区ではここ清岸寺にしかないそうです。
そして、これは本堂にかかっている大きなお数珠。
<全部で108個あるそうです。人間の煩悩の数ですね。>
大勢で円になり大きなお数珠を回しお念仏を唱える「百万遍数珠繰り」という作法があります。清岸寺の大念珠は上に滑車がついているので、ひとりでも「百万遍数珠繰り」ができるというもの。「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えながら念珠を繰ると、心が清らかになっていくのだそうです。
そして、こちらが渋谷区指定文化財の本堂です。
この本堂、以前の本堂が東京大空襲で焼失してしまった後、1951年(昭和26年)に千葉の岩井町で個人のお宅として使われていたものを移築したのだそうです。
<五輪塔(ごりんとう)>
渋谷区登録文化財にもなっている五輪塔。五輪塔は平安時代末からある墓石。渋谷区内にもいくつかあるものですが、清岸寺にあるものは、はっきりした制作年代は不明なものの、おそらく中世(室町時代)のものなのだとか。これは貴重ですね。
<酒呑地蔵(さけのみじぞう)>
こちらの「酒呑地蔵」です。お酒が飲めるようにお祈りするのかと思いきや、どちらかというとお酒を飲み過ぎないようにお祈りするそうです。
清岸寺では年に3回お祭りも開催されます。今年2月に行われた「初午(はつうま)」では消防車にも来てもらい、お子さんが運転席に乗れたり消防服を着たりすることができ、とても賑わったそうです。
一見さんもウエルカム!おシャレな自転車屋さん「BLUE LUG(ブルーラグ)」
清岸寺で歴史に触れ、息子は境内を走り回って運動もできたところで中野通りに戻ります。またほんの少し笹塚交差点方面に歩いたところに、おシャレな雰囲気を放つ自転車屋さんがありました。
<「BLUE LUG HATAGAYA」の店先。>
普段、電動アシスト子乗せ自転車を愛用している私には場違いかもしれないと思いつつ、店内をのぞかせてもらいました。
<中に入ってみると、自転車のパーツがずらり。>
幡ヶ谷以外にも代々木公園、世田谷の上馬にお店がある「BLUE LUG」。ここは出来上がった自転車を売っているのではなく、自分の好みでパーツを組み立て、自分だけの一台を作るお店なんです。
<自転車以外にも洋服やバッグなど雑貨も並んでいます。>
<オリジナルのバッグもあります。>
入り口にはオリジナルキャラの顔はめや、ガチャガチャも。
<息子もガチャガチャに挑戦してみました。>
<中にはこどもみくじとバッチが入っていました。>
「BLUE LUG」は自転車屋さんだけでなく、幡ヶ谷の甲州街道沿いにカフェ・バー「LUG HATAGAYA」もあります。
「どうして、自転車屋さんがカフェを?」と思い、聞いてみました。
<とても気さくに話してくださったスタッフさん。>
「一から自転車を組み立てるために店員とお客さんとして会うだけではなく、ご飯やお酒を楽しみながら会うことでお客さんの好みが深くわかり、よりお客さんの求めるものに答えられるようになる」という思いからカフェも始められたそうです。
「やるからにはみんな楽しく!」というモットーで、子どもウエルカム、ペットもウエルカムなカフェなのだそうです。
「みんな楽しく!」というモットーはこのお店でもいろいろなところに散りばめられています。
<店内にパンダのマネキンが!>
楽しい気分でいっぱいにさせてもらった「BLUE LUG HATAGAYA」を出て少し南下すれば、もう甲州街道です。本日のお散歩はこれにておしまい。
息子もみなさんに優しくしてもらい楽しんでくれたようなので、どの場所もまた訪れたいと思いました。子連れでのお散歩に役立てていただければありがたいです。
NPO法人 代官山ひまわり 佐々木那都美
2歳男児の母。最近の悩みは、横になると息子がバイオリンのように私の首に挟まって眠ること。私たちが所属する「NPO法人代官山ひまわり」は、子育て世代の女性が、地域や社会とつながりを持ちながら、自分の居場所を見つけて楽しくはたらくための”新しいはたらきかた”を推進する団体です。今回、渋谷区主催の「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」に参加し、街の魅力を広く伝えるための記事作成を行っています。
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