8月もあと1週間ですね。空が少しずつ高くなって、朝晩の風も穏やかに季節の変化を告げているようです。今回のシブヤ散歩新聞は、季節の代々木公園散歩。セミの大合唱の中、楽しい発見をしてきましたよ!夏休みの最後の週末、ご家族で日陰涼しい代々木公園へお出かけしてみてはいかがですか。
東京では見られないはずだったクマゼミ
取材したのは8月半ばすぎ。朝8時半の公園は、すでに賑やかなセミの大合唱に包まれていました。春まで芝生エリアを囲っていたオレンジ色の柵も撤去されて、緑雄々しい夏の公園!という感じです。
広場に向かって歩いていると、クマゼミの死骸を見つけました。クマゼミは、50年ほど前まで生息域の北限が神奈川県だったそうです。40代の筆者は幼少期、祖母の住む東京都内で毎夏セミ捕獲に明け暮れていましたが、確かにその頃の東京ではほとんど見かけませんでした。関西地方で聴く蝉時雨と関東地方で聞くそれとが全く違う風情なのはこのクマゼミの声の割合によるものらしいですよ。
手にしたクマゼミは、普段見慣れているミンミンゼミやアブラゼミと比べて大きく、分厚く、なんだか鎧を着ているような立派な姿をしていました。
裏返すと、発振膜と呼ばれる発音器の一部が見られたので、オスのようです。(黄色い羽のような部分が発振膜です。)この発振膜と、お腹の空洞を使って、音を出して共鳴させて大きな音を出す仕組みです。
そのあと、クマゼミの抜け殻も見つけましたよ!裏返して、後ろ4本の脚の付け根部分におへそのような突起があるのがクマゼミの抜け殻の特徴なのだそうです。わかりますか?
亡くなってはいたけれども、クマゼミを発見し、抜け殻も見つけてほくほく歩いていると、他の種類のセミの抜け殻もたくさん拾うことができました。
奥から順に、クマゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミです。なんだかガンダムのモビルスーツが並んだようで、壮観です。
代々木公園は大きな公園なので、本当にたくさんのセミの抜け殻を見つけることができます。いくつか集めたら、自由研究の題材にもなりそうですね。一番大きなクマゼミは、圧倒的な大きさと先ほどのおへその有無でクマゼミだとわかります。ミンミンゼミとアブラゼミは、触覚の節の大きさで分類できるそうです。一番小さなニイニイゼミは泥を纏って出てくるので、見た目も違った雰囲気です。樹木の下の方で羽化するので、小さなお子さんでも見つけやすいです。
抜け殻分類、ぜひ試してみてください。
ムクロジの実の天然サポニンで手を洗いました
セミの抜け殻に夢中になりすぎて手が汚れたなあ・・・と水道を探して歩いていると、なんと近くにムクロジの木を見つけました。ちょうど実がなる時期で、地面にたくさん緑色の実が落ちていたので気づくことができました。少し出っ張りがあって、表面には梨の実のようなつぶつぶ模様があって、大きさは親指の爪くらいです。
このムクロジの実には天然のサポニン(洗浄成分)が含まれていて、水に入れて振るだけで泡がたくさん出てきます。持っていたペットボトルの中身を飲み干して、早速天然石鹸を作りました。昔は本当にこの泡を石鹸がわりにすることがあったそうですよ。ヌルヌルしたりせず、さっぱりとした使い心地でした。
もうすぐ秋!外歩き再開の季節です
8月とはいえ、木々のおかげで日陰の多い朝の代々木公園ははそれほど暑くもなく、とても気持ちの良い散歩でした。この夏は猛暑だったので、エアコンの中で過ごす時間が長かった人も多いのではないでしょうか。まだまだ熱中症には注意が必要ですが、まずは朝夕の涼しい時間から、少しずつ身体を動かしていきたいですね。
得原藍(えはら・あい)
理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web