新型コロナウイルスに負けず、渋谷で頑張っているお店を応援しよう! とスタートしたこの企画。第6回目は、食べた人たちが健康になり、笑顔になることを願って作られたお店の味を特集します。
それでは今回、ご紹介するのはこちらの3店舗!
─オープン直後に自粛を余儀なくされた居酒屋「肉・おばんざい かぶきんとん恵比寿」が、学生に無料で食事を提供
─子どもにプレゼントを贈るような気持ちで作られている、「キッチン わたりがらす」の300円のお弁当
─大事に育てたミツバチが集めた「百花蜜」を使用。ビタミンなど栄養価が高いコロンバンの「原宿はちみつヌーヴォー」が本日、特別追加販売!
オープン直後に自粛を余儀なくされた居酒屋「肉・おばんざい かぶきんとん恵比寿」が、学生に無料で食事を提供
コロナの影響を受けているのは、アルバイトで学費や生活費を稼いでいた大学生や専門学校生も同じです。自粛の影響でバイトができなくなって学費が払えなくなり、生活も困窮しているという声をメディアやSNSを通して耳にします。
そんな学生たちの力になろうと、居酒屋「肉・おばんざい かぶきんとん恵比寿」は今月いっぱい、昼食と夕食を大学生や専門学校生に無料で提供しています。
店主の久和伸哉さんは言います。
「うちもそうですが、居酒屋はどこも学生のアルバイトに助けられています。それが今、うちのバイトの学生からも、学費が払えないという理由で退学も考えている人もいるという話を聞きますし、ブログなどでも『マジでやばい』という切実な様子を目にしました。
私は、お店を学生と一緒に成長させていきたいと思っているので、日常が戻ってきたらまた、居酒屋とかで働きながら大学に通ってもらえるよう、小さなことでもいいから学生のために何かをしたかったんです。
それにランチ営業をしていても、食べに来てくれる会社員の人たちが今はほとんどいないので、どうしても廃棄せざるを得ない料理が出てきます。廃棄してしまうのだったら、学生さんに無料で提供するという、未来ある使い方をしたいなと思ったんです」
そんな粋な取り組みをしている久和さんのお店「かぶきんとん恵比寿」ですが、実は2年間の準備期間を経て、今年の3月3日にお店をオープンしたばかり。緊急事態宣言を受け、オープンわずか1カ月で営業自粛を余儀なくされたのです。
お店を維持するために、クラウドファウンディングで支援者を募りながら、ランチタイムから20時までの営業を続けています。お店自体も奮闘を続けている中で学生に食事を無料で提供するというは、並大抵のことではありません。
でも、それができているのは、久和さんがしっかりと未来を見ているからのようです。
「自粛期間が明けた時に、バイトの学生さんたちに戻ってきてほしいんです。そのためにも、食事しに来た学生さんたちとのつながりをしっかり作っておきたい。今のこの自粛期間は、未来のためのつながりを作る時間だと思って頑張っています」
お店が落ち着いたら、また別の形で学生を支援し、つながりを作っていきたいと語る久和さん。クラウドファウンディングも今月いっぱいで終わりとなるので、久和さんの心意気に打たれた方は、ぜひ早めのご支援をお願いいたします。
https://camp-fire.jp/projects/257065/activities/131338
子どもにプレゼントを贈るような気持ちで作られている、「キッチン わたりがらす」の300円のお弁当
「この時期、いろいろな理由で困っている人の話を耳にします。経済的な理由で、ご飯をお腹いっぱいに食べられない人もいるかもしれないですよね。なので、キッチンわたりがらすのご飯で少しでもお手伝いできたらな、と思ったんです」
そう語るのは、国産無農薬のオーガニック野菜とお米で丁寧に作った料理が人気の「キッチン わたりがらす」のオーナー、村上傑規さん。わたりがらすでは今月19日から、こども向けの健康的なお弁当(日替わり)を300円で提供し始めました。
「普段、お店で出している商品とはまた違って、子どもたちにプレゼントを贈るような気持ちで、体にいい、塩分控えめでバランスの取れたお弁当を作っています。自然栽培の小麦粉を使った自家製パン(2種類)も、私のポケットマネーからプレゼントさせてもらっています」
全国の産地から届くこだわりの食材を使い、添加物や化学調味料、冷凍食品を一切使わずに作られたお弁当は、子どもたちはもちろん、毎日家族のために食事を作っているお母さんたちにとっても、すごくありがたい取り組みです。
「本当は、困っている人に直接渡すことができればいいのですが、近所や地域など横のつながりが薄くなっている今、誰が困っているのかもわかりづらくなっていますよね。直接渡すことはできないけれど、ここで待ってるよ、ということが、SNSやメディアを通じて広がり、必要としている人に届けばいいな、と思って作っています」
実はこの300円の子ども向けのお弁当は、恵比寿新聞が企画した「エビスこどもごはんプロジェクト」の一環。学校の休校中、毎日3食料理を作っているお父さんやお母さんに束の間の休息をとってもらい、未来を担う子どもたちに恵比寿のおいしい「本物」を「低価格」で食べて知ってもらいたい、と始まった企画です。
とはいえ今は、快く協力してくれている飲食店の方々も、営業自粛で大変な時期。キッチンわたりがらすも店内での提供は自粛し、テイクアウトのみの営業となっています。そこでこのプロジェクトでは、1口3,000円(お弁当10食分)で飲食店に寄付できる仕組み(https://ebisukodomo.thebase.in)も作りました。
子どもたちや飲食店の支援に賛同してくれた人たちの寄付が飲食店に届き、それが子どものお弁当の食材や容器代となって、お店の人たちが心のこもったお弁当を子どもたちのために作ってくれるーーというステキな仕組みです。
プロジェクトの話が出る前から、「自分たちで何ができるかな。無料でパンの提供をしようかな」と考えていたという村上さんは、プロジェクトの話を聞いた時に「ぜひ!」とすぐに賛同したと言います。
「今、お店の営業は縮小していますが、12年前にお店をオープンしたばかりの時の方が大変だったから、僕も奥さんも楽観視しています。日常に戻るにはもう少し時間がかかりそうですが、なんとかみんなで乗り越えていきましょう!!」
そう、明るく語ってくれた村上さん。お弁当を買いに行って、村上さんに元気づけられている方たちはきっとたくさんいることでしょう!
お弁当をご希望の方は、「前日か、当日の1時間前までに電話をいただけると、スムーズにお渡しできます」とのことですので、ぜひ、お電話してから行かれてくださいね。
大事に育てたミツバチが集めた「百花蜜」を使用。ビタミンなど栄養価が高いコロンバンの「原宿はちみつヌーヴォー」が本日、特別追加販売!
自宅で過ごす時間が長くなってから、お菓子作りを始めたという方も多いのではないでしょうか。続いては、特にホットケーキには欠かせないはちみつで希少価値の高い「原宿はちみつ」を生み出している洋菓子メーカー「コロンバン」の登場です。「原宿はちみつ」のことは、シブヤ散歩新聞でも「渋谷お土産散歩 No.4 カリッ、ふわっ、サクッの『原宿焼きショコラ』(コロンバン)」の中でご紹介しています。
写真提供=コロンバン
自然保護のために、2010年から原宿本社の屋上でミツバチを育て始めたコロンバン。「原宿はちみつ」は、ミツバチたちが色とりどりの花々から集めたはちみつで作った「百花蜜」。味や香りが異なる何種類もの花の蜜がブレンドされた、とても美味しいはちみつなのだそうです。「原宿はちみつ」を使った「原宿はちみつプリン」は、ファンが多いことで知られています。
「原宿はちみつ」の美味しさの決め手は、なんといっても蜜を集めるミツバチたちの存在ですが、広報の白石さんによると、ミツバチたちはコロンバンの方にとって大事な仲間。養蜂担当社員がいつも丁寧に面倒を見ているそうです。
今年2月に街の再開発にともなって原宿本社ビルを閉鎖することになり、その屋上から渋谷の自社ビル屋上へとミツバチたちの巣箱を移したときも、巣箱の中の巣板が運搬時に揺れないよう杭打ちするなど入念な準備をし、社員自ら巣箱を大事に抱えながら階段を降りるなど、ミツバチたちが安心できるように心を配ったとか。現在コロナウィルスの影響下にありますが、ミツバチの世話をするために、今までと変わらず、養蜂担当の方が定期的に、ミツバチたちが元気でいるかどうか、様子を見たり、日々の管理をしているそうです。
写真提供=コロンバン
愛情深く育てられているコロンバンのミツバチたち。季節によって採れるはちみつの色や香り、味わいが変化するそうなのですが、特に春採りといわれる、春の時期のはちみつは桜など花の香りが豊かでさっぱりした甘さが特徴なのだとか。こちらは「原宿はちみつヌーヴォー」として毎年販売しているそうです。この春は、4月27日に一番最初にはちみつを採り、5月7日(水)に100個限定でオンライン販売されました。が、なんと当日完売!
「原宿はちみつヌーヴォー」 写真提供=コロンバン
「これまでこんなことがなかったので私たちもとても驚きました。おうちでの時間が長くなって、もしかしたら美味しいものや健康にいいものへの関心が高まったのかもしれません」
と、白石さんは言います。はちみつにはビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素など栄養素がたっぷり含まれているそうです。ビタミンや酵素などの栄養素は熱を加えると壊れてしまいますが、「原宿はちみつヌーヴォー」は熱を加えず採ったままを瓶詰めしているため、はちみつ本来の栄養素を体に取り入れることができるのだとか。たしかに、そのことも人気の一つかもしれません。
そして、7日の即完売という状況を受けて、間もなくして「原宿はちみつヌーヴォー」の追加販売が決定。5月25日(月)に50個限定でオンライン販売されます! そう、今日です! アクセスは公式サイトから。
写真提供=コロンバン
白石さんによると、春採りされた「原宿はちみつヌーヴォー」の味わいは、百花蜜という名のとおり、華やかな香りが口の中いっぱいにひろがって、とても美味しいんだとか。
「私も初めて食べた時、その美味しさにびっくりしました。採蜜担当者も『今年も美味しいはちみつが採れた』と喜んでいましたし、奥ゆき深い味わいを楽しんでいただけると思います」。
そして白石さんからはこんな話も聞きました。
1匹のミツバチが一生をかけて集められるはちみつは、わずかティースプーン1杯分なんだそうです。その1杯分のはちみつの大切さを知る担当者の方々が丁寧に集めて、はちみつヌーヴォーを作る。そしてそのはちみつは、私たちの体を、心を潤してくれる。想像するだけで幸せを感じます。今日25日は筆者(たかなし)もサイトに走ります(笑)。もしご興味があれば、この機会に、コロンバンのミツバチたちのこともシブヤ散歩新聞の記事からチェックしてみてくださいね。
※社会の状況により、各お店の状況も刻々と変化しています。
お店やサービスをご利用の際には、各店舗にご確認いただけますようお願いいたします。
【店舗情報】
肉・おばんざい かぶきんとん恵比寿
住所/東京都渋谷区恵比寿西1-30-14 エコー代官山 B1F
TEL/03-6427-8858
営業時間/13:00〜20:00(19時L.O. ※コロナによる自粛期間中の5/25現在の営業時間です)
【通常営業に戻った後は17:00〜25:00】
定休日/日曜日(祝前日は営業)
キッチンわたりがらす
住所/東京都渋谷区東3-24-14 エクセルハイム恵比寿1F
TEL/03-3797-1515
営業時間/12:00〜19:00(※コロナによる自粛期間中の5/25現在の営業時間です)
【通常営業に戻った後は11:30〜14:30(月〜金)、18:00〜24:00(火〜土)】
定休日/日・祝
https://www.facebook.com/watarigarasu.jp/
コロンバン
https://www.colombin.co.jp/
<編集部からのお願い>
みなさんの身近に、工夫してお客さんにサービスを届けていたり、新たな取り組みをしている人やお店がありましたら、ぜひ、こちらからシブヤ散歩新聞まで情報をお寄せいただけないでしょうか。
https://forms.gle/zPidHb4ER5BEL8WS8
特に、大きく発信する力がなかったり、SNSなどの情報発信ツールを持たないお店の情報こそ、お待ちしております!
2020年5月25日現在
平地紘子(ひらち・ひろこ)
シブヤ散歩新聞・副編集長。フリーライター/ヨガインストラクター。10年以上お堅い新聞記者だったのに、3年間のアメリカ生活でヨガインストラクターに転身。でもやっぱり、書くのも好き。かなり色黒なので「サーファー?」と聞かれるけれど、見かけ倒し。スッピンのまま自転車で中目黒界隈を駆け抜けているだけです。ヨガウェアで魅せる筋肉美が最近のプチ自慢。フィットネスやマッサージなど、体にいい情報をお伝えします!
yoga teacher HiRoko HiRachi
たかなしまき
フリーライター。OL、業界紙記者、海外ガイドブックや美容雑誌の編集者を経て、現職。愛媛県で生まれ育っていた時から都会に憧れていたわたしにとって、渋谷界隈は歩いた分だけ東京のおもしろさに出会える街。現在、神奈川県在住ですが、何かと渋谷や表参道に出没しています。ふらーっと路地に入って探検したり、人間観察したり、気の向くままに歩くのがお気に入り。