夏本番。暑い日が続きますね。
こんな時は緑がいっぱいの公園でゆっくり涼みたい。でも、今まで行ったことがないところに行きたい。そこで調べてみると、渋谷の高級住宅街・松濤(しょうとう)に緑豊かな公園があるとのこと。ということで、早速、行ってきました!
名前は「鍋島松濤公園」。
最寄り駅は、一番近い井の頭線の神泉駅で、徒歩10分くらい。
住宅街の中。空まで伸びる勢いの木々の鮮やかな緑葉が目印です。
「鍋島松濤公園」という名前。松濤にあるから「松濤」はわかるのですが、なぜ「鍋島」?
こちら調べてみると、かつて鍋島家という武家・華族の土地だったようです。もともとは、江戸時代までさかのぼり、徳川家の御三家といわれる紀州徳川家の土地だったのですが、明治時代に払い下げで佐賀の鍋島家のもとに。その後、鍋島家はここで「松濤園」という茶園を開き、「松濤」というお茶も販売していたとか。都会の真ん中でお茶を飲める場所をつくるなんて、洒落てますよね。
公園に入ると、最初にこんなオブジェのような建物がお出迎えしてくれました。
こちら何かわかりますか?
実は今回、これを見たいのもあって、この公園に決めたのですが……。
答えは、「トイレ」です!
渋谷区が展開しているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」。老若男女問わず、誰にとっても快適なトイレを今年秋にかけて渋谷区17か所につくっているそうで、鍋島松濤公園は9か所目にあたるそうです。公共のトイレは、どうしても、汚い、こわいというイメージがあって、それを払しょくし、誰でも気軽に使えるトイレを実現するためのプロジェクトとか。
鍋島松濤公園のトイレのテーマは「森のコミチ」。設計したのは、建築家の隈 研吾氏。
小さな森のように緑が豊かなこの公園で、このトイレは村をイメージしているそうです。5つの小屋がアーティスティックな木々でつながっているのですが、歩いてみると小さな迷路の中にいるみたい。「あっ!ここトイレだったんだ」と小さな発見が楽しめるのです。
入ってみると、光が差して明るい雰囲気。清潔感もあって、好印象でしたよ。
小さな子どものためのトイレも。子どもたち、入るところからトイレに行くのを楽しんでくれそう。
小屋をつなぐこの階段も特徴的。コルクのような素材が敷き詰められていて、歩くと優しい感触が足を包み込んでくれました。
「森のコミチ」の前には、すべり台やブランコなどの遊具がいくつかあって、小さな子どもたちがお父さんやお母さんに連れられて遊んでいましたよ。
子どもたち、かわいいなあ。お父さんの姿も多くて、最近は「パパの育児参加」なんて言葉より、「夫婦で育児をする」という言葉の方をよく聞くようになったなあ。公園でパパが子どもと遊ぶ姿を見ていると、お母さんに負担が偏りがちだった育児生活が変化しているのを感じます。
なんて思いながら歩いていると、池がありました。鍋島松濤公園の池は、自然な湧き水でできているそうです。
池には名物の水車も。そのうしろには水車小屋もあります。
春にはサクラ、秋には紅葉がこの池に写り込んで、とても写真映えする景色が楽しめるそうです。
池のまわりにはベンチが等間隔で置かれていて、グレイヘアがとてもお似合いの女性がわんこと一緒に座っていたり、仕事休みなのか一人腰を落ち着けて池をながめている女性がいたり、思い思いに過ごしていました。
池の前にはこんな看板も。
カメにカルガモにスッポン! いろいろな生き物がいるんですね!
と、視界に入ってきたのはカメ!
都会の真ん中で、カメが泳いでいる!
しかも一匹だけじゃなくて、何匹もいますよ。トンボも飛んでいて、アメンボもすいすい泳いでいて風情があります。
カメたちがつかず離れず泳いでいます。いつも同じ池で泳いでいるから、やっぱりお互いのことを知っていて、というか友だちだったりするのでしょうか。「あっちー(暑い)ねー」「マジで」なんて会話を交わしているかどうかはわかりませんが、いいバランスでお互いの距離を保ちながら泳いでいます。
ちなみにカメは尾(しっぽ)の長さで性別を見分けるそうです。オスの方が長く太くなるそうですが、みんな池で泳いでいてしっぽ自体がよく見えませんでした!
そしてスッポンらしき姿も見つけたのですが、うまく写真が撮れなかった。残念!
カメが泳ぐ池のすぐそばでは鳩も元気に歩いています。
ほら、こんなに!
私が近寄っても逃げない。人間慣れしています。
こんなふうにカメや鳩に囲まれて、トンボなんかも飛んでいたりするのを見ると、「もうさ、のんびりいこうぜ。せかせかして疲れるんじゃなくて、のんびりいこうよ」なんて語りかけられているよう。
緑がいたるところにあふれているのも、気持ちをリラックスさせてくれます。
夏の花も咲いています。
ゆるやかなスロープで道につながっていて、ベビーカーでも無理なく移動できそうです。
神泉駅から来たときは遊具のある入り口から入りましたが、そのほかにも数か所、入り口がありました。住宅街の中にある鍋島松濤公園、地元の人たちが一息つきたいときにふらっと訪れて、癒されてまた日常に戻る、そんな場所なのかなと思いました。
鍋島松濤公園の近くにある美術館や観光スポットを紹介するマップも。そう、徒歩数分くらいのところには松濤美術館もあるのです。
今はこんな企画が楽しめるようですね。
そのまま歩いて松濤文化村ストリートに出ました。
ここで今回の散歩は終わりです。
鍋島松濤公園、はじめて行きましたが、緑が豊かで、生き物にも会えて、水車も楽しめて、話題のトイレも遊び心があって、小さな発見がうれしい場所でした。この日は午前中に行ったのですが、森林浴をした後、すっきりとした気分で午後をスタートできました。
都会の高級住宅街にあるオアシスのような鍋島松濤公園。渋谷駅からは徒歩で約12分だそうです。仕事やショッピングの合間に立ち寄ってみてくださいね。
【公園情報】
鍋島松濤公園
住所/東京都渋谷区松濤2-10-7
たかなしまき
フリーライター。OL、業界紙記者、海外ガイドブックや美容雑誌の編集者を経て、現職。愛媛県で生まれ育っていた時から都会に憧れていたわたしにとって、渋谷界隈は歩いた分だけ東京のおもしろさに出会える街。現在、神奈川県在住ですが、何かと渋谷や表参道に出没しています。ふらーっと路地に入って探検したり、人間観察したり、気の向くままに歩くのがお気に入り。