パリ郊外のプチホテルのような雰囲気で女性からの圧倒的な人気を誇る、宮益坂のプチホテル「サクラ・フルール青山」。<前編>では、ホテルを運営する桜ホテルズ株式会社が、コロナに負けずチャレンジを続けている奥多摩駅前、御嶽駅前の食事処やカフェレストランについてお伝えしましたが、<後編>の今回は、コロナの影響を正面から受けているサクラ・フルール青山に舞台を戻します。
コロナで前年比5%以下の売り上げに
前編でも少し触れましたが、コロナ前には客室稼働率95%という驚異の数字を誇っていたサクラ・フルール青山も、2020年1月からコロナの影響を受け始め、4月には売り上げが前年の5%にも満たない状況にまで落ち込みました。オーナーの小林利男さんは振り返ります。
「本当にまともに影響を受けてしまって、笑っちゃうしかないくらい打撃を受けました。まず、イベントの自粛、出張の自粛、テレワークの推進。そして、うちのお客様の主流である女性は、男性よりもセンシティブなので、もうまったく動かない。
ほとんど売り上げがなくなってしまった状態なのに、人件費はかかりますし、家賃もある。もう大変な騒ぎでした」
コンセプトメーカー、インテリアデザイナー、代表取締役/CEOをこなす嶋田美恵子さんも言います。
「スタッフのお給料は減額なしで支払うと決めたので、ものすごく大きな借金を新しく抱えました。ホテルを設立する時の創業当初の借入、東日本大震災の時の借入返済が終わってホッとしていた時にこの状況になって。政府の支援もあってお金も借りやすくなっていましたが、借りてはどんどん減って、の繰り返しです」
政府の「GO TO トラベル」も、プラスになるどころか逆効果。
「サクラ・フルール青山のようなビジネスタイプのホテルだと、それまでうちを使って頂いていたお客様がGO TOを使ってシティホテルに行ってしまうんですよ。いつも泊まっていないところに泊まろうって。だからうちにはまるっきり恩恵がなかったですね」(小林さん)
お話を聞きながら驚いたのは、こちらが反応に困るくらいものすごく厳しい状況に追い込まれているのに、語っている二人が1年前と変わらぬ穏やかで快活な笑顔でいること。
素直にその気持ちを伝えてみると、お二人からはこんな言葉が返ってきました。
小林さん:もちろんすごく大変ですが、その中でもいろんなことをやって可能性を探っていこう、というのが今のうちのスタンスです。
嶋田さん:そうですね、嘆いていてもしょうがないので、コロナ禍でも楽しみながら乗り越えていこうと思っています。
この前向きな姿勢が、桜ホテルズの何よりの強みなんだとしみじみ感じた瞬間です。
カップル向け、長期滞在者向けなど、新サービスを次々とリリース
少しでもお客様に来てもらおうと、二人はサクラ・フルール青山にてさまざまなサービスを次々に展開。ホテル併設のCAFE&BAR ANTIQUE ROSEでの「モーニングコーヒーサービス」(無料)の提供をはじめ、
デイユース利用の方向けに、11時から21時の間、最大10時間の部屋の利用+併設のカフェを利用できる「カフェ&ルームプラン」もスタート。
宿泊していないお客様も、Wi-Fi完備、コーヒー無料のカフェを15分100円で利用できるレンタルワークスペースも始めました。1時間5,500円(税込)で貸し切り利用もできるとのこと。渋谷駅から近いので、会議や打ち合わせにもいいですね!
この他にも、20点までなら何点でも出すことができるランドリーサービスや、長期滞在の人向けの「セカンドハウスプラン」、
なんと翌日21時まで利用できる!超レイトチェックアウトの「カップルプラン」などの新プランも続々とリリースしています。
宿泊だけでなく、仕事で徹夜明けでちょっと休憩したい、混雑している通勤電車はできるだけ避けたいから会社の近くに泊まっていたい、という方など、渋谷界隈で仕事をしている人にもとても便利なプランです。
サクラ・フルール青山との接点を広げるための新プロジェクトとは・・・!
そんな様々な新サービスの中でも極め付けのプロジェクトが、サクラ・フルール青山を舞台にした映画撮影! タイトルは
全10話(1話約20秒)のSNS用短編シリーズで、新米ベルボーイ ショウタがサクラ・フルール青山でタイムスリップし、過去の自分に出会ったり、未来を垣間見たりするというストーリー。サクラ・フルール青山を愛用してくれていた恵水流生氏が監督、板橋知也氏が脚本を手掛け、11月にホテルで撮影したとのことです。
なぜ、映画を撮影しようと思ったのか小林さんに聞いてみました。
「コロナ期間に入ってから、恵水監督が別の映画の撮影場所としてホテルを使ってくれたんです。それをきっかけに、ホテルを舞台にした映画を作ったらどうだろうか、と嶋田と話したんです。映画を通じてうちのホテルのコンセプトを届けられないか、と。ダメ元で恵水監督に相談してみたら『撮りましょう!』と言ってくださってトントン拍子に話が進み、翌月には撮影となりました。
これまでホテルを知らなかった人は『こんなホテルがあるんだ!』と知るきっかけになるとおもしますし、知っていた人は『あ、あそこのホテルだ!』と盛り上がるきっかけになるともうんです。それだけでなく、ホテル×映像 という手法の先駆け的な存在になれたら、とも考えています」
予告動画も出来上がり、YouTubeチャンネルで配信が始まっています。
このホテルを舞台に一体どんなストーリーが展開されるのか、わくわくしますね!
ホテル「サクラ・フルール青山」応援プロジェクトとして、クラウドファンディングもスタート
また、映像の配信に合わせて、12月15日からホテルとしてのクラウドファンディングも始めました。
その名も、恵水流生監督の短編ドラマ! ホテル「サクラ・フルール青山」応援プロジェクト。ホテルを知ってもらう大きなきっかけとなる短編動画の制作支援通して、ホテル自体の経営を応援してもらおうという試みです。
目標額は300万円。5000円〜10万円まで、支援金額に応じて、オリジナルキーホルダーやアメニティセット、宿泊券などのリターンがついているものもあります。
恵水監督は「2020年はホテル業界も大変な状況となっています。私たちの愛するサクラ・フルール青山がいつまでも変わらずにあってほしいと、私たち映像チームが一丸となって短編ドラマ制作に取り組みました。皆様のご支援をいただけますようよろしくお願い致します」と支援を呼びかけています。
1年前にインタビューした時、ホテル名、会社名の由来について嶋田さんが「桜の木は、厳しい冬を頑張って乗り越えて、春になると満開の花を咲かせ、自分たちだけではなくて周りの人も幸せにいく。同じように、人生も色々あるけれど、厳しい時期を乗り越えて、自分たちだけではなくて周りも幸せにしていくような会社を、ホテルを作りたい、という思いを込めたんです」と語ってくれていました。
今のコロナの時期は、まさに厳しい時期に当たります。
「この冬を、なんとか乗り越えていきたいですね。厳しい寒さじゃないと満開の花は咲かないですから。こんなに厳しくなるとは思わなかったですけど、その分、乗り越えた時の喜び、桜の満開具合は素晴らしいものになると思います」(嶋田さん)
ぜひこの苦境を乗り切り、ホテルとして満開のサクラを咲かせてほしいと、シブヤ散歩新聞としても願っています。そして、10話の短編映画を楽しみにしています!
クラウドファンディングのページはこちら!
https://www.makuake.com/project/thebell/
皆様、ぜひ応援お願いいたします!!!
【ホテル・店舗情報】
サクラ・フルール青山
東京都渋谷区渋谷2-14-15
Tel / 03-5467-3777
http://www.sakura-hotels.com
氷川食堂
東京都西多摩郡奥多摩町氷川199-7
Tel /0428-83-2401
営業時間/11時~18時
定休日/火曜、水曜(祝祭日は営業)
http://hikawashokudo.com
ミタケテラス
東京都青梅市御岳本町339-1
Tel /0428-85-9012
営業時間/11時~17時
定休日/火曜、水曜(祝祭日は営業)
http://mitaketerrace.com
平地紘子(ひらち・ひろこ)
シブヤ散歩新聞・副編集長。フリーライター/ヨガインストラクター。10年以上お堅い新聞記者だったのに、3年間のアメリカ生活でヨガインストラクターに転身。でもやっぱり、書くのも好き。かなり色黒なので「サーファー?」と聞かれるけれど、見かけ倒し。スッピンのまま自転車で中目黒界隈を駆け抜けているだけです。
ヨガウェアで魅せる筋肉美が最近のプチ自慢。フィットネスやマッサージなど、体にいい情報をお伝えします!
yoga teacher HiRoko HiRachi