「明治神宮のおみくじはね、普通のとはちょっと違うんだよ。おしゃれなんだから」
そんなことを友だちから聞いて、明治神宮でおみくじを引き、ありがたいお言葉をいただいて、「ほんとだ!」と心しびれたのは何年前になるでしょう。でも、それから年始は自宅から近くの神社でお参りすることが恒例になっていて、なかなか明治神宮でおみくじを引く機会がありませんでした。
でも思ったのです。ああ、そうか、「おみくじは年始に引くもの」という思い込みを捨てればいいんだ。いつ引いてもいい。そこにおみくじがある限り。
それに7月上旬が誕生日だった私。これから1年を見てもらう意味でも、いいや、2020年の下半期でもいい、何かありがたいお言葉をいただきたいと思ったのでした。
ということで、明治神宮に行ってきました。この前、500円占いで「あなたのパワースポットはね、神社なの。時々行ってみるといいわ。気持ちが落ち着くから」と言われたから浮かんだという説もありますが、とにかくおみくじを引きに行ってきました。
2020年は「明治神宮鎮座百年祭」。今年11月1日に鎮座百年祭を迎えるそうです。みなさん、ご存じでしたか? コロナウイルスや大雨の災害で何かと気持ちが沈むことが多い日々ですが、明治神宮の100年目という大きな節目にお参りに行けるんだと思うと、何かいいことがありそうで、ぱーっと晴れたような気持ちになれました。
私、いつもここにくると感じるのが、森のような心地のよさ。静かだし、歩いているうちに木々のエネルギーを身体いっぱいに浴びているようで気持ちいい!
本当に森のようだなと思うのですが、明治神宮のHPによると、まさにそのイメージでつくられていたようです。明治天皇と昭憲皇太后をおまつりしているこの明治神宮をつくる際、人々が静かに祈りを捧げる「永遠の杜」をつくるために、第一線の学者たちが集められて計画が立てられていったそうです。植培する樹木はほとんどが献木で、全国から奉納された木は約10万本。その多くの木々を使って、延べ11万人の青年が造営工事の勤労奉仕を行ったことで、明治神宮の杜がつくられていったとか。
静かな森の中にいるような気分になれるのは、とても自然のことだったのですね。そして、国民によってつくられた場所だった。だったのかー。なんと!
百年祭を記念したこんな展示もありました。
明治天皇様や明治の歴史がコンパクトにまとめられていて、わかりやすい展示でした。
へえ~と眺めつつ、歩いて。
趣のある水場で手を洗って。私が洗った後、3歳くらいの小さな男の子が一生懸命手をのばして洗っていました。少し離れた場所からお父さん、お母さんが見守っていて、ほほえましかったー。
そんなこんなで、いよいよ境内へ!
お参りをして。さて、おみくじを。
と思ったけれど、おさいせん箱の近くにありそうで、ない。ない。
と右を向いたらありました。おみくじの文字が。
いえいっ。
1~30まで数字が並んだ箱。100円投入して、私の誕生月で、一番好きな数字の7を選びました。出たお言葉がこちら。
「大御心(おおみごころ)
明治天皇御製
折にふれて
さまざまのうきふしをへて呉竹の
よにすぐれたる人とこそなれ」
裏側にわかりやすく書かれているのですが、
つまりはこういうこと。
「人はさまざまの艱難辛苦(かんなんしんく)を体験してこそ、節を持つ竹のように、世に優れた人となるのです」
もっとわかりやすい言葉でも書いてあります。
「努力なくして成功はありません」
…………。
はい、わかりました。
心の中でつぶやいた私でした。精進します。
結構、重いお言葉をいただきました。これから下半期、いいえ、これから1年このお言葉を胸に頑張ります。
さて、明治神宮のおみくじが、なぜ大吉とか中吉か小吉とかぐにょぐにょとかが出るおみくじではなく、お言葉なのか。そうなった歴史についてもHPに書かれていましたよ。
明治神宮のおみくじが始まったのは戦後。どうやら、最初から「一般のおみくじとは違う明治神宮らしいおみくじは出せないか」という思いからつくられ始めたようです。さすが流行発信地の渋谷区を代表する神社。ゼロから新しいものを生み出すことにこだわっていたのですね!
相談を受けた当時、明治神宮の総代をしていた國學院大學教授の宮地直一氏が、御祭神にもっともゆかりの深い御製(天皇の作られた詩文・和歌)、御歌(皇后・皇太后・皇太子などのよまれた和歌)でつくるのはどうかと意見を出されたことで、今のようなおみくじがつくられるようになったそうです。
今回、私が引いたおみくじは、明治天皇がよまれたもの。どんな表情でどんな気持ちでこの言葉を引き出されたのか、ちょっと想像してしまいました。なぜか夜、満月に向かって細長い和紙に筆を持っていらっしゃるのですけれど。真剣な表情で書かれていました。
おみくじは、なんとHPのトップページでも引くことができます。一番下までスクロールしてみてください。クリックすると、お言葉が現れます。ぜひお楽しみくださいね。
おみくじを引いた後は、敷地内にある杜のテラス2ndへ。「クロワッサンがおいしいです」とネットでクチコミがあって、買いたくなって行ったのです。でも、残念ながら売り切れみたいでショーウィンドウにはパン自体が並んでいませんでした。ああ、食べたかった!
でも、ここで諦めるわけにはいきません。というか、次は、帰りに寄ろうかな、でもちょっと移動が面倒くさいよなあ、と思っていたパン屋さんへ行くことを決めた私。
隣駅の代々木公園まで足をちょっと延ばして(ここはちょっと電車で)、行ってきました。
「テコナ ベーグル ワークス」。
どうしてもここは一度行ってみたい。食べたい! と思っていたお店でした。
……実は一度行ったことがあるのですが、その時は見事定休日にあたってしまって、肩を落としながら帰ったのです。
いつも50種類以上のベーグルが並んでいるというこちら、お店に行った日も棚いっぱいに美しいベーグルたちが盛り盛りと並べられていました。
今、コロナ対策でお店の中には入れるのは4人までと、安心して好きなベーグルが選べるように配慮されていました。行列は4、5人くらい。お行儀よく並ばれていました。そして、見事におひとりさま女子ばかりでした。たまたまだったのか、こちらのお店の特徴なのか。
結局、私が買ったのは7個。いちご&ホワイトチョコ、かぼちゃ、シナモンが入ったもの、さつまいも&リンゴのベーグルなどなど、どれが何だかよくわからないけど、選ぶの楽しかった!
「ふかふか」「もちもち」「むぎゅっ」と3つの生地が楽しめるというテコナのベーグル。私が食べたのは、もちもちとむぎゅっの2種類。どちらもたまらなく美味しい! かぼちゃもシナモンも女子が好きな甘さ、濃さ。「ああ、自分が本当に食べたいベーグルを作りたくてお店を作ったんだろうなあ」と勝手に作り手の気持ちを想像して共感してしまうほど、美味しかった! また行きますよ!
今回、明治神宮のおみくじが一番の目的でしたが、1時間くらい久しぶりに歩けて、しかも緑いっぱいの静かな場所でリフレッシュできて、おみやげにベーグルも買って、となかなか満足な散歩になりました。みなさんもよかったら、まずは百年という大きな節目を迎えた明治神宮に行ってみてくださいね。
明治神宮
東京都渋谷区代々木神園町1-1
TEL/03-3379-5511(代表)
https://www.meijijingu.or.jp/
テコナ ベーグル ワークス
東京都渋谷区富ヶ谷1-51-12 代々木公園ハウスB102
TEL/03-6416-8122
営業時間/AM11:00~18:30(売り切れ次第閉店)
定休日/不定休
http://tecona.jp/
Instagram/ https://www.instagram.com/tecona_bagel_works/
たかなしまき
フリーライター。OL、業界紙記者、海外ガイドブックや美容雑誌の編集者を経て、現職。愛媛県で生まれ育っていた時から都会に憧れていたわたしにとって、渋谷界隈は歩いた分だけ東京のおもしろさに出会える街。現在、神奈川県在住ですが、何かと渋谷や表参道に出没しています。ふらーっと路地に入って探検したり、人間観察したり、気の向くままに歩くのがお気に入り。