先日、葉山の友人の持つ畑にふきのとうを収穫しに行きました。もう春ですね。苦味の多い植物を口にすると、冬の間に身体のなかに澱のように溜まっていた何かが静かに洗い流されていくような気持ちになります。
今回の朝な朝な散歩は、代々木公園の「春」を見つける散歩になりました。
最初の開花は葉のない木から・・・の不思議
わたしは春の花が好きです。秋にすっかり葉を落として冬を越えたまっさらな枝に、ポツポツと蕾が成長し始め、ひとつふたつと開花しながら春の訪れを教えてくれます。サクラの花の最初のひとつが開花しているのを見つけると、なんともいえない喜びが身体の中を走るような気がしませんか。
代々木公園に到着すると、春を迎えた木々たちが出迎えてくれました。
わー春だわーと上を見上げて歩いていて、ふとあることに気がつきました。春のはじめに花をつける樹木といえば、写真の黄色い花サンシュユや、ハクモクレン(2枚目)、サクラ、コブシ、ウメ、モモ、などなど。春の樹木を思い浮かべてみると、「まず花が咲いてから葉が出てくる」という共通点があったのです。サクラなんて、葉が出てきたら「葉桜だねえ」なんて、少しがっかりしてしまうもの。どうして春のはじめの樹木は葉よりも先に花を咲かせるのか、気になったので調べてみると、「日本植物生理学会」のホームページになんとわたしと同じ疑問を専門家に聞いているページがありました!
「桜や梅の樹は、なぜ先に生殖器官である花が咲き、後から栄養器官である葉が生えるのか。」という、花を生殖器官として捉え、葉を栄養器官として考えている、わたしの疑問に比べるとなんとも知的な質問です。その回答を読んでみると「何故かはよくわかっていない」ということらしいのですが、回答の冒頭にこんな表現がありました。
「野山で観察すると、同じサクラでも葉の展開とほぼ同時に花が咲くものや葉の後で花が咲くものなど、いろいろあるようです。」
なんと!葉よりも先に花、の代表格だと思っていたサクラも、花が先とは限らない、と書いてあったのです。もしかしたら、春には葉よりも先に花をつける樹木が多い、のではなく、葉よりも先に花をつける樹木を春の代名詞として愛でている、ということなのかもしれません。そういえば、サクラといえばソメイヨシノ、一本のソメイヨシノのクローンが、日本中の花見文化を作ったのでした。
公園や、庭や、人工的に作られた様々な場所では、四季を感じることができるように樹木を配置するのでしょう。春の訪れを知らせてくれる鮮やかな花が、先人たちの春への喜びを表現するために選ばれてきた木々なのだと思うと、それを同じように愛でる現代のわたしたちにもそのDNAが受け継がれているように感じられて、不思議な気持ちになりました。
目線を下げてみると、そこは春爛漫でした
サンシュユやハクモクレンを見上げながら歩き、少し目線を下げてみると、ドッグランの奥に花畑が見えました。そこはまさに春爛漫!近づいてみると、自然に生えてきた植物から、植えられた植物まで、とにかくカラフルな草花が虫たちを引き寄せながら陽の光を浴びていました。
中央に大きな芝生の広場がある代々木公園、広場だけ見ると緑一色ですが、芝生広場を囲むように色とりどりの四季が感じられるように考えられているのだなあと思います。ジョギングをする人、ヨガをする人、犬を連れている人、ベンチに座る人、公園を使う目的はさまざまですが、春になって公園を利用する人の全体的な人数がぐっと増えていることも印象的でした。人間も、動物ですね。
さて、下を向いて歩いていると、食べられる草も発見しました。
一枚目の写真はノビル、二枚目はハコベ(ハコベラ)です。ノビルは根元に縦に縞模様のある、スッと伸びた細い葉が特徴で葉は細ネギ、根っこの部分の丸い膨らみを食べるとエシャロットのような味がします。ハコベは春の七草にも入っている植物ですね。他にも、ヨモギなんかも生えていました。犬の散歩も多い公園なので、そのまま食べるというわけにはいきませんが、食べられる野草探しというのも大きな自然豊かな公園での楽しみのひとつなのではないでしょうか。
昨年春には子どもが遠足で取ってきたノビルで色々な料理も楽しみましたよ!
適度な運動と新鮮な空気で心身リフレッシュしよう
春の代々木公園はいかがでしたか。昨今のさまざまな事情で心身が疲れている方も多いと思います。ウイルスへの感染は、密閉された室内よりも開放的な外にいた方がリスクが少ないそうです。軽い運動は心身を健やかに保つコツでもあります。近くの自然へお散歩、いかがですか。
得原藍(えはら・あい)
理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web