渋谷で出来立てのチーズが食べられる「SHIBUYA CHEESE STAND」。美味しさの秘密をお伝えした<前編>に続いて、<後編>では、お店に関わる人もお客さんも楽しめる取り組みや、これからについてお話を聞きました。
渋谷でお店を出すことにこだわった理由とは?
SHIBUYA CHEESE STANDは、今年6月4日にオープン7周年を迎えました。
それまでの道のりが決して簡単ではなかったことは、代表取締役でチーズ職人である藤川真至さんのnoteからも伝わってくるのですが、私は読んでいて、ありがとうございます、という気持ちになったのでした。こんなふうに想いをもってチャレンジする人がいてくださるからこそ、新しい感動にふれることができる。しみじみと思ったのです。
藤川さんのnote
「藤川は、渋谷への思いがとても強かったんです」と広報の方が話すように、藤川さんは、渋谷でフレッシュチーズを作り、販売することにこだわりました。noteには、「新しい価値を提供するために、文化や情報の発信地である渋谷でどうしても出店したかった」とあります。そうして見つけたのが、奥渋谷でした。物件を見つけた8年前は、まだ今のようにいろいろなお店が並んでいるわけではなく、とても静かな街だったのだそうです。
それが今では多くの人が行き交う、とても人気のエリアになりました。
「渋谷は多様な人が集まる街です。そして様々なことを自由に発信しているイメージがあります。お店の場所によってもお客様の年齢層などが少し違っていて、『SHIBUYA CHEESE STAND』はどちらかというと若いお客様が多く、5分ほど離れた場所にある『& CHEESE STAND』は奥渋谷に住んでいらっしゃる方、幅広い年齢層の方が多いという印象です。チーズの価格はスーパーに比べるとお安くはないと思うのですが、フレッシュチーズの価値を理解してお求めいただける方が年々増えていて、渋谷の日常にチーズが溶け込んでいるようでとてもありがたいですね」
いろいろな人と一緒にお店を作っていきたい
チーズと相性のいいフードとの取り組みからも、目が離せません。たとえば、同じ奥渋谷にお店を置く「テコナベーグルワークス」。このお店では、リコッタチーズにあうベーグルを作ってもらい、一緒にチーズを販売しました。このことは、「ベーグルやパンにのせて食べても美味しい」と多くの人に伝わった提案になりました。
テコナベーグルワークスのベーグルとリコッタチーズ 写真提供:CHEESE STAND
「ありがたいことに、シェフの方が料理に使いたいとおっしゃってくださることも増えています」と広報の方は話します。
たとえば奥渋谷のビストロ「PATH(パス)」では、一番人気のダッチパンケーキにブッラータが使われているのだそうです。
「東京で良いものを作りたい、といった思いを持つ方との取り組みはこれからも増やしていきたいですね」と広報の方は話します。
2012年のオープンからすぐに「渋谷で出来立てのチーズが食べられるお店」として存在感を出し、フレッシュチーズの美味しさを伝える場も少しずつ広がっていますが、今、何かさらにチャレンジしたいことはあるのでしょうか。聞いてみると、次のように答えてくれました。
「本当の意味でのファンの方が増えていただくようにしたいですね」
本当のファンとは、一体どんな人のことをいうのでしょう。
「一緒になって、お店を作ってくださるような方です。ファンの方と楽しみながらお店を育てていきたい」
お店で料理を食べてくれるお客さんには感想を聞いてみたり、チーズを買って行くお客さんには食べ方の提案をしたりと、コミュニケーションをこまやかに取ることで話しやすい雰囲気を出すようにしているのだそうです。
「SNSでの発信も含めて、メニューのご提案だけではなく、どうすればお客さまは喜んでくださるのか、どういったことがしてみたいのか、直接、お聞きしたりしています。お叱りの言葉がもしあれば、すぐに改善につなげています」
様々な出会いが楽しめるイベントも、これからもっと増やしていきたいことのひとつ。
「チーズ練りを体験できるワークショップを開いたのですが、募集して数時間後には定員いっぱいになりました。チーズ作りに興味を持ってくださる方がいることがわかっていい経験になりましたね。ワインの生産者さんを呼んで、ワインとチーズを楽しむ会も行ったのですが、こちらも盛り上がりました」
またこの春には、渋谷のIT企業の料理部という活動のなかで、チーズ練り体験のワークショップを開いたのだとか。
チーズ練り体験ワークショップで講師をする藤川さん(右) 写真提供:CHEESE STAND
5月には、青山にある国連大学でのワインイベントにも出店したそうです。
「お客さまと直接触れ合えるこうした機会はもっと増やしたいですね。フレッシュチーズをたくさんの方に手軽に楽しんでいただけるようにいろいろ場を作っていきたいです」
チーズがあることで毎日がより美味しく、楽しくなる。そんな提案をこれからも生産者さんやシェフの方々、そしてお客さんたちとのつながりを大切にしながら続けていくそうです。さらに渋谷から新しい価値を創り続けるためのチャレンジもしかけていくそうですよ。その変化はぜひお店で感じ取ってみてくださいね。本当にびっくりするくらい美味しいですから!
【CHEESE STAND】
SHIBUYA CHEESE STAND
住所/東京都渋谷区神山町5-8
アクセス/東京メトロ千代田線「代々木公園駅」2番出口より徒歩6分
JR「渋谷駅」より徒歩10分
都バス・京王バス「放送センター西口」すぐ
TEL/03-6407-9806
営業時間/11:30〜23:00(L.O.22:00)
日曜日 11:30〜20:00
定休日/月曜日・年末年始(ただし月曜日が祝日の場合は翌平日休み)
https://cheese-stand.com/shibuya
& CHEESE STAND
住所/東京都渋谷区富ヶ谷1-43-7
アクセス/東京メトロ千代田線「代々木公園駅」
または小田急線「代々木八幡駅」より徒歩4分
TEL/080-9446-8411
営業時間/11:00〜20:00
土曜日・日曜日 11:00〜18:00
定休日/月曜日・年末年始(ただし月曜日が祝日の場合は翌平日休み)
https://cheese-stand.com/and
インタビュー/界外亜由美(かいげ・あゆみ)
シブヤ散歩新聞・編集長。クリエイティブ・ディレクター/プロデューサー/コピーライター。三重県の伊賀市、忍者の里出身。ちなみに、界外(かいげ)は本名です。東京に来て10数年目。いつ来てもワクワクする渋谷の街が好き(いまだに渋谷駅で迷う。方向音痴……)。興味のあるジャンルは料理、酒、発酵、お笑い、短歌、絵本、子育て。シブヤ散歩新聞ではレアキャラ的頻度で執筆予定。
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テキスト/たかなしまき
フリーライター。OL、業界紙記者、海外ガイドブックや美容雑誌の編集者を経て、現職。愛媛県で生まれ育っていた時から都会に憧れていたわたしにとって、渋谷界隈は歩いた分だけ東京のおもしろさに出会える街。現在、神奈川県在住ですが、何かと渋谷や表参道に出没しています。ふらーっと路地に入って探検したり、人間観察したり、気の向くままに歩くのがお気に入り。