渋谷一駅散歩とは
「渋谷一駅散歩」というお散歩マップをご存知でしょうか。「渋谷の魅力を歩いて発見してほしい!」と、東京商工会議所・渋谷支部が作成し、ウェブ上で公開している全10コースのマップです。渋谷には世界的、全国的に有名なスポットがいくつもありますが、それ以外にも、お散歩だからこそ出会える路面店や特色ある商店街、歴史・文化的施設、公園の緑など、魅力あるスポットがたくさんあります。そんな魅力をもっともっと知ってほしいという思いで作られたマップなのですが、実は、この「シブヤ散歩新聞」も同じ思いで作られている東京商工会議所の取り組みなんです! 今回の連載では、「渋谷一駅散歩」のルートを実際にお散歩してみました。ぜひ参考にしながらも、ご自分だけの一駅散歩を楽しんでみてください。
東京商工会議所・渋谷支部「渋谷一駅散歩」のルート紹介ページ
京王線の笹塚駅から幡ヶ谷駅までの間に延びる4つの商店街。「十号通り商店街」「十号坂商店街」、そして「六号坂通り商店街」と「六号通り商店街」をめぐる散歩の後編をお届けします!
前編では「十号通り商店街」と「十号坂商店街」を歩きました。後編では、まず「六号坂通り商店街」へ向かいます。
大きなお数珠に心落ち着く「法界山 清岸寺」
「法界山 清岸寺」からスタート!
「清岸寺」は、立派な屋根瓦が印象的なお寺です。
HPによると、1640年(寛永17年、「浄土宗寺院由緒書」による)に建立されたとのこと。もともと清岸寺(龍池山不断院)自体は、代々木の参宮橋南側にあったらしく、明治42年、住僧がいない状態で荒廃した法界寺と合併したそう。その後、参宮橋から当地へ移転。法界寺と清岸寺が合併したことから、「法界山 清岸寺」と改称されたということです。
この清岸寺では、大きなお数珠がおさい銭箱のそばにあって、このお数珠を持って念仏を唱える「百万数珠繰り」の話が有名。
でも、100万回唱えるのは大変なので、今では1回でもいいとされているそうです。ということで、私もお数珠を触って、念仏を唱えました。
清岸寺を出た後は、水道道路と呼ばれる道を歩いて、「六号坂通り商店街」へ向かいます。
途中見かけたのは「れんげ食堂」。中華料理屋さんです。
財布の紐がついつい緩む「六号坂通り商店街」
「六号坂通り商店街」の入口。
すぐに目に入ったのが、文房具屋さん。お店の前には、きせかえとぬりえの棚が2つ置かれていました。
小さな子どもがいる家庭にとって、きせかえとぬりえは最強の遊び。永遠のヒーローやヒロインが何冊も並んで、これは助かります。今まで見たことのなかったこの工夫、店主のアイディアに感心しました。
ここは「ナッツ アンド ミルク」。古着のショッピングが楽しめるお店です。
デザイン性豊かな洋服と、たばこ屋さんのようなスタンドが目印。このスタンドでは焼き菓子も買えるという、とてもユニークでワクワクするような発想のお店です。
中に入ってみると、いろいろな色と柄の洋服がたくさん並べられていました。散歩したこの日はちょうどゴールデンウィークだったからか、ゴールデンウィークセールで1,000円均一になっていて、お得でした。
「ナッツ アンド ミルク」を出ると、続いて現れたのが、和菓子屋さんの「ふるや古賀音庵」です。1936年創業の老舗です。大勢のお客さんで行列ができていました。
このお店の看板商品は、黒胡麻がたくさんかかった「古賀音だんご」(税込み972円)。
私、食べてみたかったんです! この日はこの「古賀音だんご」と上生菓子を買って、帰って食べました。「古賀音だんご」は、開けた瞬間から黒胡麻の迫力に圧倒。箱に入ったあふれんばかりの黒胡麻の中に団子5本が埋もれているのです! どこどこ?とお団子を探したの、初めてです。ほんとうにたっぷりの黒胡麻に包まれたお団子、香ばしくて甘くて、お団子はもちもちで美味でした。満足!
「ふるや古賀音庵」の目の前にはパン屋さんもありました。
メロンパン、クロワッサン、パイなど小ぶりのパンが少しずつ並んでいるところにこだわりが感じられるお店です。
少し歩くと、自転車屋さんも。
水道道路を渡って、今度は「六号通り商店街」へ向かいます。
少し先には新宿の街並みが。
「六号通り商店街」発。多くの人に頼られる傘の専門店
「六号通り商店街」にある傘専門のお店「仲屋商店」です。
1930年創業で、ベテランの傘職人とアンブレラマスターの資格をもつ店主がお店を訪れる人一人ひとりにぴったりの傘をチョイスしてくれるそうです。傘専門店というだけでも珍しいのだそうですが、ここは傘の修理も長年手掛けていて、注文が途切れないほど人気なのだそうです。でも、現在は残念ながら中止。
傘を大切に使い続ける文化がここから発信されていたんだなと思わせてくれるお店です。渋谷を盛り上げるために企画したという、渋谷の忠犬ハチ公をモデルにしたオリジナル傘、また子どもたちが安全に使えるようにと作った子ども用の折り畳み傘も人気です。
「六号通り商店街」を出て。
幡ヶ谷駅です。
昔ながらのお店や老舗が並んだ笹塚と幡ヶ谷の商店街たち。どのお店もこだわりに満ちていて、活気があって、歩いていてとても楽しかったです。スタート地点の笹塚駅からは2時間くらいの散歩になりました。
住宅街でもあるこの辺りは、昔から人の暮らしに欠かせない台所として商店街が育ち、一つひとつのお店が大事に守られてきたんだろうなと思いました。
ここでふと、疑問が湧いてきました。「商店街ってどうして商店街っていうのだろう」「いつからあるのだろう」。
そこで調べたら、ウィキペディアに概要などが書かれていました。
それによると、商店街の定義は特にないそうです。また、その起源は、古くは安土桃山時代の楽市・楽座まで遡るそう。楽市・楽座とは、織田信長など戦国大名の支配地の市場で行われた経済対策なのだとか。そのほか、江戸時代に街道沿いに発達した宿場町や寺院などが集まる門前町や、その後の時代の港や駅周辺などがあるそうです。
共通するのは、商業地として栄えていたところ、人馬の往来が多いところなど集客が見込める地域にお店が集まって、自然に発展していったこと。この笹塚、幡ヶ谷も、渋谷や新宿に近い街として人が集まり、お店が増えて盛り上がっていったのかもしれません。
笹塚と幡ヶ谷の商店街たちには、美味しそうなお店がたくさんありました。おみやげも数えきれないくらい買って、大満足です。よかったら、みなさんも散歩してみてくださいね。
【スポット・店舗情報】
清岸寺
住所/東京都渋谷区幡ヶ谷2-36-1
TEL/03-3377-3505
https://seiganji.or.jp/
ナッツ アンド ミルク
住所/東京都渋谷区本町6-38-4
TEL/080-6791-0181
営業時間/12:00~22:00
定休日/不定休
ふるや古賀音庵
住所/東京都渋谷区幡ヶ谷3-2-4
TEL/03-3378-3003
https://www.koganean.co.jp/
仲屋商店
住所/東京都渋谷区幡ヶ谷2-7-9
TEL/03-3377-3865
営業時間/不定期
定休日/日・祝
http://nakaya-kasa.com/cgi-bin/umbrella/site.cgi
※いずれのお店も、新型コロナウイルス感染拡大防止対策により営業日時が変更になっている可能性があります。HPでご確認するか、お店にお問い合わせください。
たかなしまき
フリーライター。OL、業界紙記者、海外ガイドブックや美容雑誌の編集者を経て、現職。愛媛県で生まれ育っていた時から都会に憧れていたわたしにとって、渋谷界隈は歩いた分だけ東京のおもしろさに出会える街。現在、神奈川県在住ですが、何かと渋谷や表参道に出没しています。ふらーっと路地に入って探検したり、人間観察したり、気の向くままに歩くのがお気に入り。