今日は渋谷駅南口にあるモヤイ像の「裏の顔」について、皆さんに知っていただきたいと思います。
といっても、この像が夜な夜な動き出し何かあやしげな商売をしてる、なんて話をしたいわけではありません。駅前を普通に歩いているかぎり、あまり目に留まらなくなってしまいましたが、実はこの石像、裏にも顔があります。
『散策マップしぶや』のモヤイ像の項によると、表の顔は若者(アニイ)、裏の顔は老人(インジイ)とのこと。恥ずかしながら、自分も何度も通ってるはずですが、裏の顔は知りませんでした。皆さんはご存知でしたか?
そもそも、なぜこんなところにモアイ像みたいなのがあるのだろうと思い調べたところ、次のようなことがわかりました。
・「モヤイ」とは新島の方言で「力を合わせる」という意味である。
・この像は、昭和55年(1980)に新島の東京都移管100年を記念して、新島観光協会が設置したものである。
・新島特産の「抗火石」(こうがせき)で作られている。
・高さ約2.5メートル、重さ約2.5トンである。
また、表の顔の右側に、これまた目立たなくなってしまっていますが、小さな石碑があります。そこには、次のようにモヤイ像に関する説明と、新島村からのメッセージが書かれています。
新島には古くから『モヤイ』と呼ぶ美しい習慣があった。それは島民が力を合わせる時にのみ使われた。
いわば共同の意識から生まれた素朴な人々のやさしい心根を表すものであった。
『モヤイ』は島の歴史とロマンを秘めた言葉なのである。
ここに集う人々よ、ものいわぬモヤイ像は、あなた方に何を語りかけるであろうか。
願わくば私たちと共に、そのかすかなる祖先の『モヤイ』合う連帯の心に胸を大きく開かれんことを。
昭和五十五年九月二十五日 東京都新島
ハチ公像前もいいですが、次の渋谷での待ち合わせは、ぜひモヤイ像の「裏の顔」前で!
<余談>
ちなみに、このモヤイ像、なんと過去に盗難にあったことが!事件の顛末について知りたい方は、下記URLをご参照ください。
1.渋谷駅南口の「モヤイ像」、姿消す−ルパン三世が「犯行声明」?(『シブヤ経済新聞』2009年12月07日)
http://www.shibukei.com/headline/6547/
2.「行方不明」のモヤイ像、戻る−ルパン三世「犯行声明」から2週間(『シブヤ経済新聞』2009年12月21日)
http://www.shibukei.com/headline/6578/
イト・タクヤ
フリーライター。歴史、神社・仏閣めぐりが好き。基本は部屋に引きこもり、たまに渋谷区内を徘徊。「普段は渋谷の街を歩くことのないシブヤ初心者」として、常にフレッシュな視点からの執筆を心掛けている。というか、事実そうなので、そういう文章しか書けないというのがホンネ。シブヤ散歩新聞では、シブヤ坂散歩をはじめ、渋谷の街の歴史や文化等にまつわる記事を担当している。
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