今回は「宮益坂」についてご紹介します。
渋谷駅から青山通り(国道246号)へ上がる坂道です。坂下と坂上にある標柱に書かれた説明文によると、町名が坂の途中にある御嶽権現とその境内にある千代田稲荷にあやかって渋谷宮益町に変わったため、これに伴い坂も宮益坂と呼ばれるようになったようです。
それ以前は「富士見坂」と呼ばれていました。坂上からの富士山の眺望がすぐれており、名所だったとのことです。江戸時代、この坂は道玄坂とともに大山街道に沿う江戸の出入り口の一つであり、旅人たちが休憩地として茶屋や酒屋を利用しました。料飲所は元禄の頃からあったらしく、古今稀有の大酒呑みと呼ばれた地黄坊樽次こと茨木春朔という人物の『水鳥記』なる書物には、酒飲みの「難所」として素通りしかねる所としてあげられているとか。天保年間(1830〜1844)に刊行された『江戸名所図会』には、相州街道にある48の坂のうち最初の坂である、と紹介されています。
明治になると、まだ山手線が開通する前にここから新橋まで走る定期馬車が出ており、いちはやく文明開化の波に乗っていたことがわかります。一方、坂下、つまり渋谷駅の周辺はどうかというと、馬場弧蝶『明治の東京』や田山花袋『東京の三十年』の記述によると、道の両側に水田が広がる田舎らしい場所だったようです。
山手線開通後は道玄坂界隈に遅れはとったものの、宮益坂周辺も繁盛したようです。しかし、昭和20年(1945)5月、このあたり一帯は戦災によって消失してしまいました。その後いちはやく復興しましたが、往時のおもかげはまったく見られなくなり、現在では渋谷郵便局をはじめ高層ビル街となっています。
今後もこの坂道の風景は変わり続けていくことでしょう。
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10/9(日)は散歩の日!シブヤ散歩フェス2016@渋谷ヒカリエ
10/9(日)は、て(10)く(9)てく歩く「散歩の日」を記念して、
“シブヤ散歩フェス2016”を開催します。
散歩で見つけた美味しいパンやお土産の紹介に加え、
シブヤの〇〇な魅力を発掘する「〇〇散歩」公開ブレストや、
シブヤ経済新聞の西樹編集長によるトークセッションも開催。
パンとお土産の試食もたくさん用意しています。
【イベント企画内容】※一部調整中
1.シブヤぱん散歩&シブヤお土産散歩(展示・紹介&試食)
会場内に展示スペースを設け、シブヤ散歩の魅力の一例として、渋谷の美味しいパンとお土産を紹介します。一部商品については試食も。
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(パン)ガーデンハウスクラフツ、ファミーユ、メゾンイチ、ル・コルドンブルー、DAIKANYAMA LOTUS、シェ・リュイ
(お土産)ハチ公ソース、ふるや古賀音庵、原宿焼きショコラ、代官山スィートポテト、OKURA焼き、東横ハチ公(クッキー2種、おかき、プールミッシュ、カステラ饅頭、どら焼き、にくきゅうパン)
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2.シブヤ○○散歩プレゼン&公開ブレスト
「シブヤ○○散歩」と題して、シブヤの様々な散歩を提案するプレゼンテーションを実施します。
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(1)シブヤ「ぱん」散歩
(2)シブヤ「ビール」散歩
(3)シブヤ「餃子」散歩 etc
その他、シブヤ散歩新聞ライター陣及び参加者を交えた公開ブレストを行い、新たな「シブヤ○○散歩」を発掘します。
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3.シブヤ散歩トークセッション
シブヤ経済新聞の西編集長をはじめ、「シブヤ」「散歩」にまつわるゲストによるトークセッション。
【イベント概要】
2016年10月 9日(日)
12:00〜16:00
http://www.hikarie8.com/court/2016/09/1092016.shtml
渋谷ヒカリエ 8/
東京都渋谷区渋谷2丁目21−1 8F
東急東横線・田園都市線、東京メトロ副都心線「渋谷駅」15番出口直結
JR線、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」と2F連絡通路で直結
入場無料・事前申込不要
主催/シブヤ散歩会議(東京商工会議所渋谷支部)
イト・タクヤ
フリーライター。歴史、神社・仏閣めぐりが好き。基本は部屋に引きこもり、たまに渋谷区内を徘徊。「普段は渋谷の街を歩くことのないシブヤ初心者」として、常にフレッシュな視点からの執筆を心掛けている。というか、事実そうなので、そういう文章しか書けないというのがホンネ。シブヤ散歩新聞では、シブヤ坂散歩をはじめ、渋谷の街の歴史や文化等にまつわる記事を担当している。
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