都会に住んでいると休日はどこもかしこも混んでいて、家族に子どもを含む我が家は「子どもの体力を消耗させつつどう楽しむか」という課題に毎週末頭を悩ませます。
思えば子どもが2歳の頃、なぜか彼は毎朝5時起きでした。
夜中に目覚めていたのはきっと夢遊的な何かだったのでしょう。5時からエネルギー全開でした。
しかたなく、ときどき、朝の代々木公園に行っていたのです。だって近所だとうるさくて迷惑なんだもん。。
朝ごはんを持ってレジャーシートを広げて遊びながら過ごす朝は、眠いけれどもとても爽快でした。
あれから2年。
先日、家族3人6時に起きた週末に、ひさしぶりに朝の代々木公園を訪れました。
到着するとそこはまるで高原だった
朝7時15分。日中の予想最高気温が35度を超える8月の末。朝の代々木公園はまるで高原でした。
日向はすでにぐんぐんと温度が上がっているのに、高い樹々が林立する外周はとても涼しくて快適。
近くにはドッグラン。20匹を超える犬たちが、喧嘩することもなく柵を超えることもなく、思い思いに運動を楽しんでいます。飼い主の皆さんの早起きに感心しつつ、そういえば自分も子どもに運動させるためにここに来たのであった・・・と目的が同じであることに気がつきました。
「子育て犬を飼うが如し。されど我が子、犬ほど賢からず・・・」と、早速駆け出して近くの自転車の邪魔をする子どもの背中を見守りながら、朝ごはんに最適な場所を探してウロウロします。
公園朝ごはんは、切るだけ朝ごはん
母がレジャーシートを敷いて朝ごはんを準備している間に、父子は自転車とランニングで代々木公園を一周してきました。
子が2歳の時分、朝ごはんを外で・・・という話をすると、えーめんどくさいことするねー、とよく言われたものですが、今回準備したのは以下。
割れない皿、コップ、ペットボトルからお茶を移した水筒、ナイフ、スプーン。
食材は、バナナ、キウイ(これを切るのにナイフが必要)、それからコンビニで買ったオレンジとヨーグルト。
とにかく簡単に家を出られることのみを追求した朝ごはんです。
朝ごはんを終えたら、子どもは再度外周サイクリングコースへ。最近運動不足だと言う夫も一緒にランニングへ。
母は木漏れ日散歩を楽しみました。
光と音と風が感覚を刺激してくれる
あー眠いなーと大脳皮質では思いつつも外に出て、チラチラと木漏れ日の中でそよぐ風を身体に受けながら歩いていると、普段呼び起こされることのない身体の中の小人が活動を始めるような気がします。
いつも「蝉が鳴いてるなー!」としか思わない木立の中の大合唱も、よく耳を澄ますとツクツクボウシ。
8月末、暦の上では立秋なのだなと、思わず録音アプリを立ち上げました。
足元をよく見ると、そこには蝉の幼虫が羽化のために出てきた穴、穴、穴。
目線を上げると、木の幹には抜け殻、しかもいろいろな種類の。(あとで調べてみたら、一番手前はツクツクボウシ、泥がついた小さいのがニイニイゼミ、その奥が見分けづらいアブラゼミ・ミンミンゼミでした。)
普段の生活で見えないものが見えてくる、聞こえないものが聞こえてくる、手で触れるワクワクや、運動して上がる心拍のドキドキが、この記事を書いている今この時でも鮮やかに蘇ってきます。それだけ、記憶の中枢に繋がる感覚が刺激された時間だったのでしょう。
すっかり目も覚めて、週末が気持ちよくスタートしたのでした。
渋谷区は「15㎢の運動場」
渋谷区では2018年に『スポーツ推進計画』がはじまりました。
渋谷区を『15㎢の運動場』と捉えよう、というこの計画では、
『スポーツ施策を「する」「見る」「支える」「つながる」の観点から体系的に整理し、渋谷区における街の特性を活かし、庁内全体の連携はもとより、産官学民連携で取り組み、スポーツを総合的に振興する』
ことを掲げています。
代々木公園の面積はo.54㎢。渋谷区全体の3パーセント。ひとつの公園がこれだけの面積を占めているというのは、渋谷区の大きな特徴かもしれません。
この代々木公園の四季折々と朝の風景を、これからこの連載で切り取っていきたいと思います。
得原藍(えはら・あい)
理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web