メンバー制のコークリエーション(価値共創)スペースとして、今年の4月にオープンしたばかりの「atlya(アトリア)参宮橋」。
体に優しい一汁三菜ご飯やドリンクを提供するカフェスペースとして、また、ヨガやバレエ、ものづくり等、様々なワークショップを開催する場として、さらに、ボディケアやセラピー等のサロンスペースとして、地域にも開かれています。
実はわたくし八田もこの4月からこちらのコミュニティメンバーとして参加しているのですが、「Atlyaっていったいどんな場所なんだろう?」と思うことがしばしば(参加しておきながら何ですが!)。そこで今回改めて「Atlya参宮橋」について知りたいと思い、取材してきました。
安心感の中で「ものづくり」に没頭できる、豊かな時間
この日はニットのワークショップが開かれていました。お子さん連れのかたもちらほら。Atlyaでは見守り保育付きのワークショップを開催しており、大人がワークショップに参加している間、子どもたちはキッズスペースで遊びながら過ごすことができます。
大人たちが手を動かす傍らで、子どもは子どもで遊んでいる・・・そんな様子に、どこか懐かしさを感じます。
「『子連れでもウェルカムだよ』という空気があるのって、子育て中のお母さんにとってはとても安心なこと。Atlyaでは子どもも大人も『自分が尊重されている』と感じられます。その安心感があるからこそ、ひとりひとりがその人らしい創造性を発揮できる時間になっているのだと思います」と、講師の横山浩代さん(写真左)。
Atlyaを運営するyou be you株式会社代表の井尾さわこさん(写真右)にもお話を伺いました。この日は参加者として輪の中に入っていた井尾さん。
「Atlyaのコンセプトは「100custom 100life」。100人が100通りの生き方を創っていく場なんです。自分らしい生き方を創るためには『自分が何にワクワクするか』を知ることがとても大切。Atlyaのワークショップを自分のワクワクを探す場として使ってほしいと思っています」
「仕事」と「暮らし」をシームレスにつなぐ「地域の社員食堂」
Atlyaに併設されている「tsugugotoカフェ」では、ご近所の会社に勤めるかたが連れ立ってランチ利用する姿が。
「地域の社食として使ってほしくて、『社食チケット』も発行しているんですよ」とカフェ担当のさやかさん。昼食のクオリティが高いと午後からの仕事もはかどりそうです。「仕事をしながらであっても、おいしくて体にいいものを食べたい」。「仕事」と「暮らし」をシームレスにつなぐ、Atlyaのこだわりがつまったお昼ご飯です。
コミュニティでのコークリエーションが新しい「仕事」を生み出す
コークリエーション(価値共創)スペースとしてのAtlyaについて、井尾さんにお話を伺いました。
「働き盛りの世代は、子育てやライフイベントも多い時期。どうにかやりくりして仕事をこなす、という発想だと<仕事>と<暮らし>がどうしてもばらばらになってしまいます。自分の価値を見失い、時間がないのに時間の切り売りをするような働き方になっていくケースも多く目の当たりにしてきました。どうしたら、短い時間で自己価値を上げ、役割を昇華させることができるのか、すごく考えました。 そこで行き着いたのが「コミュニティ内での価値共創」という働き方だったんです。」
Yuta Takahashiさん(写真左)赤塚桂子さん(写真中央)とのデザイナートークイベントでも、デザインの世界の「共創」が話題に。
井尾さんのお話の中に何度も出てくる「価値共創」という言葉。今さらながら調べてみると「ステークホルダーの協働によって、新しい価値を生み出すこと」という意味だそう。Atlyaというコミュニティで行う「価値共創」とは、一体どんなものなのでしょうか。
「コミュニティには『他者』がいます。他者の存在が、『わたし』の存在や個性をくっきりさせてくれます。仕事上の役割も明確になるので、それ以外は他の誰かに委ねることができるようになります。そんな風に自分の個性や役割に気づいた人たちによる価値共創が、Atlyaでは次々に生まれています。たとえば、このAtlyaというコミュニティの中にはブランドプロデューサーもデザイナーもエンジニアもいます。単なる発注受注という関係ではなく、お互いが自分の強みを持ち寄って、対話しながらプロジェクトを立ち上げ、進めていけます。それがAtlyaの考える『価値共創』です」(井尾さん)
Atlyaのコンセプトは「100custom 100life」。100人が100通りの働き方、生き方を「共に創る場」として、これからどんどん発展していきそうです。「興味ある!」というかた、まずはカフェやワークショップにぜひ足を運んでみてくださいね。
【Atlya(アトリア)参宮橋】
東京都渋谷区代々木4-50-13-1F
http://atlya-co.com/
八田吏(はった・つかさ)
ライター。
NPO法人で、産後の社会問題に関する調査研究に携わる。個人活動として短歌の会を隔月で開催。自宅から一番近い繁華街が渋谷なので、映画に行くのも友達とのお茶も、本や洋服などの買い物も、だいたい渋谷区内で完結しています。