2018年3月にもご登場いただいた「フローリストイグサ」の井草 隆さん。代官山ヒルサイドテラスに約50年の歴史を刻み、質の高い花々と独創的なデザインを提供し続けています。
今回、世界がコロナ禍によって大きな影響を受けながらも、変わらぬ情熱で花と向き合うイグサさんに、約6年ぶりの取材をさせていただきました。
「花や緑をそばにおきたいと思う人が増えたのではないでしょうか」とイグサさんは話します。
あなたの日常には、今、どんな花がありますか?
コロナ禍の心の癒しとして花が求められるように
Q: 2020年2月末、新型コロナウイルスの感染拡大で全国に緊急事態宣言が出されました。代官山の街の雰囲気はどんな感じでしたか?
イグサさん: コロナ禍によって人々の行動が制限されたので、それまでのにぎわいが一気になくなり、街は静まり返りました。でも、もともとここは、地元の人たちが中心の静かな街。私のように古くからの住民や店舗にとっては、かつての静かな雰囲気に戻ったような感じでした。でも、懐かしさだけではなく、同時に寂しさもありましたね。
Q: 緊急事態宣言中、お店の営業はどのように対応されていましたか?
イグサさん: 「日用品や食材を買いに出た帰りに花も買って帰りたい」というお客さまが多くいらっしゃったので、いつも通り店を開けて営業を続けていました。「店内の植物の香りに癒される」という声も多かったです。
Q: みなさん、癒しを求めていらっしゃったのですね。
イグサさん: コロナ禍で家にいる時間が増えたでしょ?そうなると、家の中でなんとか気分転換したいって思うようになるんですよね。だから、家に花を飾りたいという人が増えたのだと思います。花って見ているだけで心が和むし、部屋もパッと明るくなるじゃないですか。
それに、外出制限で自然に触れる機会が減ってしまったので、花を通じて少しでもその恋しさを埋めたいっていう気持ちもあったのだと思います。あの時期だからこそ、花が人々にとって特別な存在になったのではないでしょうか。
にぎやかさが戻った街。 花と緑が彩る新しい日常
Q:以前のインタビューで、東京オリンピックの影響でインバウンドのお客さまが増えるのではないかとおっしゃっていました。
イグサさん:2021年の東京オリンピックは無観客で開催され、選手のみなさんも行動制限が厳しかったので、当初予想されていたような状況にはなりませんでした。うちだけではなく、日本全国、どこも同じような状況だったと思います。仕方ありませんね。
Q: 現在の代官山やお客さまの様子はいかがですか。
イグサさん:街は以前の感じに戻っているのではないでしょうか。花は、以前はギフト用が多かったのですが、コロナ禍で家庭用の花が求められるようになり、今もその傾向は続いています。小ぶりでかわいらしい花や野草を買っていかれるお客さまが多いんですよ。
日常生活に花が加わることに喜びを感じ、それが習慣になったんだと思います。
Q:花や野草が日常にあるのは素敵ですよね。
イグサさん:日常に花や植物を取り入れることで、心に優しい風が吹き込みます。花の美しさや植物の緑に囲まれると、自然と心が和み、日々のストレスが少し軽く感じられませんか。
また、花や植物のお世話をすることで感じる小さな喜びや、生き生きと成長する姿を見守ることは、私たちにとって元気の源。四季の移り変わりを身近で感じることができるのも、日々を豊かに彩る素敵な点です。
こんな風に、日常に花や植物があることは、私たちの心を穏やかにし、毎日を少しずつでも豊かにしてくれますね。
ちなみに、店頭のレモンの木は、街ゆく人々に大人気だそう。
「必ずみなさん、足を止めて見上げていらっしゃいます」とイグサさんは微笑みます。
これからも、街とみなさんの日常を癒してくださることでしょう。
後編では、この時期にぴったりのアレンジを紹介していただきます!
【フローリストイグサ】
住所/渋谷区猿楽町18-12 ヒルサイドテラスG棟1F
TEL/03-3461-8787
営業時間/OPEN10:00 CLOSE18:00
定休日/年中無休
https://florist-igusa.com/
黒澤真紀
愛媛県出身です。都内の塾に勤務→結婚→出産(息子2人)を経て、フリーランスに。上京当時は渋谷のにぎやかさにあたふたしましたが、田園都市線沿線に住み、ちょこちょこ遊びにくるうちに楽しめるようになりました。しばらくぶりにいろんな渋谷を楽しみたいです。服やかわいいものが大好きな妹と一緒に来ようかな。