梅雨の代々木公園を歩いたことがありますか?
実は筆者は初めてで、しとしと雨の降り続く中の公園散歩ってなんだかちょっと寂しいなあ・・・なんて思いながら向かったのですが、思いがけない素敵な発見もあって、とても楽しい散歩になりました。
森の中のアジサイと、大切に育てられたバラ
今回の散歩のスタートは、原宿門でした。原宿駅に一番近い原宿門から入ると、100mほどですっかり森! 雨の朝の森は静かで烟っていて美しい高原にいるようでした。よくよく考えてみれば、梅雨の時期は植物にとってはたっぷりと水を蓄えることができる豊かな季節なんですよね。深く根を張る植物の力強い側面を見ることができた気がしました。
緑を眺めながら深呼吸して進んでいくと、アジサイも咲いていました。今年はアジサイで有名な鎌倉のお寺なども一部観覧自粛と聞いていますが、代々木公園のように十分に広い場所は安心ですね。この日は長靴を履いていったので、防備は万全、ゆっくり立ち止まってアジサイを独り占めできました。
アジサイの先にはバラ園もありました。代々木公園の園内マップでは「バラの園」と書いてあるエリアです。白いアーチがあるので遠くからもよくわかります。バラの季節は少し過ぎていましたが、品種ごとに立てられた看板を見ながらバラの樹の間を歩いていくと・・・「プリンセス ミチコ」というバラを発見!上皇后美智子さまのお名前を冠したバラです。花は終わりかけでしたが、とても鮮やかな色のバラでした。後日調べてみたところ、1966年に北アイルランドの企業から当時皇太子妃だった美智子さまに贈られたバラなのだそうです。今は世界中で栽培されているようですよ。
「バラの園」ではもうひとつ発見がありました。それは浦沢直樹さんの漫画『マスターキートン』に出てくる「パパメイヤン」というバラを見つけたことです。ご存知の方は、是非探してみてくださいね。
梅雨の季節にこそ散歩!暑熱馴化のためにも是非
今回は雨の中の散歩でしたが、みなさんはこの梅雨の季節、どのような気持ちで過ごされていますか?
雨がたくさん降って憂鬱だなあ、もうすぐ夏だなあ、衣替えをしないとなあ、素敵な傘が欲しいなあ、などなど気持ちは十人十色だと思いますが、身体と運動に関わる仕事をしていると、毎年この時期には「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」しないとなあ・・・という気持ちになります。暑熱馴化とは、身体を徐々に暑さに慣らしていくことです。きちんと暑熱馴化していくと、真夏の体調不良を防ぐことができると考えられています。
最近はマスメディアでも熱中症の話が多く取り上げられますね。子どもの頃はあんまり言われなかったのになあ・・・と不思議に思って文献を手繰ってみると、気温と体温の関係についての研究は、1960年代から70年代から盛んになってきたようです。1978年生まれの筆者の子ども時代には、研究黎明期だったのですね。
時代は変わり、どのように暑さに身体を慣らしていくと体調不良を抑えることができるのか、今はずいぶん様々な方法がわかってきています。2016年の文献には、身体を暑さに慣らす期間は最低で7日、14日以上だと効果が高い、と書かれていました。
日本の夏は梅雨の時期から徐々に気温が上がっていくので、夏本番までに身体を整えるにはちょうど今頃から少しずつ暑さに身体を慣らしていくことが大切です。今年の春は運動をあまりできない環境でしたので、少し長めの散歩くらいから始めるのがちょうどいいと思います。
みなさんも梅雨の代々木公園散歩、いかがですか?
得原藍(えはら・あい)
理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web