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CULTURE

渋谷朝な朝な散歩 No.15 公園の動植物で感じる冬

2022年もあと数日。二十四節気では冬至(とうじ)、七十二候では麋角解(さわしかのつのおつる)。ヘラジカをはじめとする大きな鹿の角が落ちるのがこの季節なのだそう。生き物も本格的な寒さに向けた準備をする頃なんですね。今回の代々木公園散歩では、公園内の冬模様をお伝えしたいと思います。

松の木も冬支度

今回は、原宿側の門から代々木公園に入って、右奥の方向へ歩いてみます。保育園の前を通って舗装路を歩いていくと、太い松の木が。よく見ると、何やら由緒正しい松のよう。

ふむふむ、かつて大正天皇や昭和天皇がこの松の横に立たれて、陸軍の閲兵式(えっぺいしき:閲兵とは、軍隊を整列させて、元首、司令官などが見回ること)が行われたそうな。大正時代から、ということは少なくとも樹齢は100年以上でしょう。枝の重さを支える支柱とともに、幹を大事に守るように柵が張り巡らされていました。

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この閲兵式の松の他にも、歩道の周辺には松の木が植えられていました。なんだか松の様子って冬らしいなあ・・・と思いながら歩いていたのですが、ふと気づいたのです。もしかしてこの「冬らしさ」って、松に巻き付けられている藁のせい?雪国では雪除けのために樹木を覆ったりもしますが、この、幹の一部に申し訳程度に巻かれた藁にはなんの意味があるのでしょうか。

調べてみると、樹の幹に藁を巻き付けるこの風習が、「こも巻き」と呼ばれる害虫駆除方法だということがわかりました。寒い冬のあいだ藁を巻いておくと、そこに越冬のために虫が集まるので、春になったら藁を外して燃やすのだそうです(現在では益虫も殺してしまうことになりかねないという理由で、こも巻きを行わない場合もあるのだとか。詳しくはこちら)。もともとは「まこも」という植物を使っていたそうですよ。

こも巻きがあるから「冬らしさ」を感じたのも、間違いではなさそう。皆が集う公園で、こうして伝統的な季節の風物詩を見ることができるのは、なんだか嬉しいですね。

バード・サンクチュアリを発見

松を通り過ぎて更に公園の奥へ歩を進めると、また看板が。何やら一帯を囲っている柵の説明であるようです。んん〜?サンクチュアリ?漢字で「野鳥誘致園」の文字も。なるほど、ここは鳥のための保護エリア、バード・サンクチュアリなんですね。

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松の「こも巻き」を見て冬の到来を実感するように、鳥と季節、といえば渡りが気になります。サンクチュアリというからには、四季折々、さまざまな鳥が集まるのでしょう。看板には、15種類の「主な野鳥」が記載されていました。さらっと目を通して「渡り鳥っぽいなあ」と思ったのは、最後に記載されている「カモ」だけ。あとはよく聞く鳥の名前なのですが、渡り鳥なのかどうか、さっぱり見当がつかない鳥がほとんど。

自宅に帰ってじっくり調べてみると、一種類だけ、冬に日本にやってくる「冬鳥」という区分の渡り鳥だということがわかりました。ということは、その鳥は、この季節にはこのバード・サンクチュアリにいるかもしれないわけですね。春になればまたシベリア方面に旅立ってしまうそうです。
みなさんは、どの鳥が冬鳥か、わかりますか?(答えはこちら

冬の体調管理には、保温・加温、そして熱産生

寒い冬の散歩では、しっかり防寒具を用意して身体の保温に気をつけ、水分補給にお湯や暖かい紅茶などを選んで身体を温めながら歩きたいですね。けれどもこの日の散歩のように天気の良い日だと、コートを着て日向を歩くだけで汗ばんでしまうこともあります。そんなときには、汗に要注意。肌に直接触れる下着やシャツが濡れると、あとでひんやりと冷たくなって体温を奪ってしまうのです。冬の散歩では、汗をかきすぎない服装を心がけて、もしもしっかり汗をかいた場合には下着だけでも替えられる準備をしておくと安心です。特に、冬でも外遊びがしたい子どもたち。子どもは身体の容積が小さいので、濡れた衣服で奪われる体温は大人以上です。気をつけてあげましょう。

一方で、冬は、汗をかくと面倒だから・・・と言って、運動をしないのもよくありません。実は筋肉は成人の身体の組織の中で、熱を産生する主要器官でもあります。外気に体温を奪われる季節だからこそ、運動による筋の熱産生で、体温維持に努めたいものですね。冷え性の方も、運動によって筋量を増やすことで冷えから解放されますよ。

得原藍(えはら・あい)

aiehara理学療法士/一般社団法人 School of Movement ディレクター。
子育てしながら運動科学の専門家として、身体と環境と生活の関係を考える日々を送る。
たのしいマイニチのために人生編集中。
TEXT aiehara’s web

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