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CULTURE

渋谷イベント散歩No.18 コロナ禍で生まれた新たなアートパフォーマンスの形「leap2live」<前編> 

コロナ禍の自粛で大きく減ってしまったものの一つに、私たちがアートに直接触れる機会、そして、アーティストたちが表現する場、があります。

この1年の間、何回ライブに行ったでしょうか? 演劇には? コンサートは?
たぶん、片手で足りるくらいの数しか足を運んでいないとう人が多いのではないでしょうか。振り返ってみると、私自身も昨年秋に1回、小劇場に足を運んだだけ。チケットを買っていた昨春の演劇は公演が中止になり、そのまま機会を逸してしまいました。

そんな状況の中、アーティストをオンラインで招き、アートパフォーマンスを体験できる新しいライブの形が渋谷から生まれました。「leap2live」です。

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自分がライブイベントの企画者となって「leap2live」に参加しているアーティストに出演を依頼し、オンラインでライブを開催してもらうというもの。アーティストに支払う出演料は決まっているので、たくさんの仲間と割り勘して視聴するもよし、自分だけ、もしくは家族だけのためにライブを開催してもらうもよし、いろいろなスタイルで開催できるのが特徴です。

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leap2liveのwebサイトより

現在のラインナップは、声のアーティスト・山崎阿弥さんによる「声のパフォーマンス」や「耳のワーク」、映画「千と千尋の神隠し」のリン役も務めた歌い手・玉井夕海さんのライブ「歌う犬」、演劇家・藤原佳奈さんによる「暗闇パフォーマンス」など。

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leap2liveのwebサイトより

オンラインでみんなが集まる場所にアーティストがleapする!というこの企画は、アートに触れる機会がなくなった人たちにとても喜ばれ、何度もオンラインでライブが開催されました。

なぜ、オンライン×パフォーマンスアート だったのか

「leap2live」を企画したのは、著書「ハウ・トゥ・アート・シンキング」などで知られる起業家の若宮和男さん。「もっと世界をユニークに」というヴィジョンのもと、株式会社「uni’que」(渋谷区)代表として、女性の起業家輩出に特化した事業などを手がけています。

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若宮和男さん

なぜ「leap2live」を立ち上げたのか、何を目指したのかなどを、若宮さんと参加アーティストの一人、山崎阿弥さんにお聞きしました。

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山崎阿弥さん photo by Taku Kato

ーー「leap2live」の構想を思いついたのはいつ頃ですか。

若宮さん:実際に立ち上げようと思ったのは、最初の緊急事態宣言が出された後の2020年4月29日です。自粛で、自分たち家族もどこにも出かけられないし、美術館などでアートに触れる機会もどこにもない。一方で、当時Zoom飲みと称しては友達家族とかはオンライン上で集まっていました。

つまり、外には出られなくなっても人が集まっている場はあったんです。だったら、表現の機会がなくなっているアーティストと、鑑賞する場がなくなっている人たちがオンライン上で出会う場を作ったらどうだろうと思い立ち、アーティストに声をかけました。

ーーアートは幅広いですが、中でもパフォーマンスアートの人たちに声をかけたのはなぜでしょうか。

若宮さん:ビジネスにアート的な発想を生かしていこうという考え方のもと、もともとアーティストと一緒にイベントをやったりしていたので、アーティストの知り合いがたくさんいました。

緊急事態宣言が出て表現の場がなくなった時、例えば画家とか作品を作っているアーティストは作品を売るということができるけれど、パフォーマンスアートはパフォーマンスをする場がないとパフォーマンスアートという作品を生み出すことができないという状況に直面していました。アーティストの中でも一番厳しい状況にあったので、その場をオンライン上に作ろうと思ったのが最初です。

ーー実際、緊急事態宣言が出てからライブはすべて中止になりましたか。

阿弥さん:はい、パフォーマンスだけでなく、計画中だったワークショップや海外での展覧会なども含めて、中止・延期を余儀なくされました。

ーーそういう厳しい状況の中で、若宮さんから「leap2live」の話を打診された時、率直にどう思いましたか。

阿弥さん:私のパフォーマンスは、空間の響きを生かしたものです。空間の随所に異なる声をあてて、その反射・反応に応じて声をさらに変化させ、空間とコミュニケーションしていく。その対話そのものをパフォーマンスとして見せています。だから、時間と空間を共にせずに果たしてそれを分かち合えるだろうか、ということを懸念しました。

見る方のネット環境やそのための機器もそれぞれ違うので、一体どうなるんだろうか、果たして自分に合う方法なのか、迷いましたね。

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山崎阿弥さんの「leap2live」パフォーマンスの様子

若宮さん:他のアーティストの方たちも最初は「うーん」という感じでしたね(笑)。阿弥さんが言うように、特にパフォーマンスアートの方たちは、リアルにお客さんに伝えること、その場の空気感をすごく大事にして作りあげています。だからこそ、オンラインではリアルとは違うプアな体験になるのではないか、という懸念を皆さんが抱いていました。

ーーそれでも阿弥さんがやってみようと思ったのはなぜでしょうか。

阿弥さん:自分で認識できる自分の範囲なんて、すごく狭いと思うんです。その狭さから出るときには、自分からはあまり進んで手をかけない場所へ飛び込んだ方が広がりが生まれると思いました。半信半疑ならば余計に、やってみたほうが面白いことが起きるのではないか、と気持ちを決めました。

リアルの劣化版ではなく、オンラインだからできる体験を

ーーリアルとオンラインのギャップは、どうやって埋めていったのですか。

若宮さん:やっているうちに面白いことが起こってきたんです。例えば、山崎阿弥さんは自宅のいろんな場所からパフォーマンスをしていたんですけど、ある時、浴槽にお湯を張って、水の反射を利用しながら歌いながら湯船に入っていくというパフォーマンスをされたんです。これって、コンサートホールとかライブハウスとか、リアルでは絶対にできないことですよね。

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山崎阿弥さんの「leap2live」パフォーマンスの様子

玉井夕海さんも自宅から配信する時、夕海さんが歌っていると、飼い犬がやってきて一緒に歌うんです。

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玉井夕海さんの「leap2live」パフォーマンスの様子

これも、リアルではできないことです。そういうのを積み重ねていく中で、リアルの劣化版ではなく、オンラインだからできる体験、そもそもまったく違う体験を作り出した方がいいんじゃないかと考えるようになっていきました。

最初の頃は音質とかにもこだわっていたんですけど、昔、美空ひばりの歌声を途切れ途切れのラジオで聴いていた人たちの音楽体験が貧しいものだったかというとそんなことはなくて、途切れ途切れでもノイズがあっても目の前で聴いているかのように聴くことができたわけです。だから、見る方の想像力を信じて、委ねて一緒に立ち上げていくという思考にどんどん変わっていきましたね。

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山崎阿弥さん photo by Peter Gannushkin

阿弥さん:画面の向こうで聴いてくれた方たちの感想を聞くと、画質や音はあまり気にならなかったそうです。逆に、あまり高精細でないことが功を奏して、無意識に集中力を高めて、補って聞くほうへ傾いていったのかもしれないな……と。もう少し進めて言えば、一緒にパフォーマンスの世界を作る共犯関係が起こっていたということではないかとも思います。もしそうならば、意義があったと嬉しいです。

1月31日のパフォーマンスは、今からでもチケット購入可能! ぜひご自身で体験を!

リアルなライブの“代替品”ではなく、オンラインだからこそできる新しい体験を生み出すことに成功した「leap2live」ですが、先日、また一つ新たな試みが始まりました。

それは、渋谷区との実証事業。「leap2live」は「Innovation for new normal」という渋谷区が推進するスタートアップとの連携プログラムに採択され、第一弾として、1月17日(日)にコンツェ恵比寿の“ある場所”で行われた阿弥さんらによるパフォーマンスが、オンラインを通じてチケット購入者の画面へと届けられました。

実証事業って一体何? どんなパフォーマンスだったの? という詳細は、2月3日公開予定の<後編>でお届けしますが、この事業に興味を持った方は、1月31日(日)の夜、「電車とバスの博物館」(川崎市)で行われる藤原佳奈さんらによるパフォーマンスを、実際にオンラインで見てみませんか?

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チケットは、公演当日の31日18時まで販売中なので、ぜひ、「leap2live」の世界と実証事業を体験してみてください!

【leap2live】
https://leap2live.stores.jp

【渋谷区実証事業2回通しチケット】
https://leap2live.stores.jp/items/5ffdb2cdda019c5d2aab17bc

 

平地紘子(ひらち・ひろこ)

hirachihirokoシブヤ散歩新聞・副編集長。フリーライター/ヨガインストラクター。10年以上お堅い新聞記者だったのに、3年間のアメリカ生活でヨガインストラクターに転身。でもやっぱり、書くのも好き。かなり色黒なので「サーファー?」と聞かれるけれど、見かけ倒し。スッピンのまま自転車で中目黒界隈を駆け抜けているだけです。ヨガウェアで魅せる筋肉美が最近のプチ自慢。フィットネスやマッサージなど、体にいい情報をお伝えします!
yoga teacher HiRoko HiRachi

 

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