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CULTURE

渋谷イベント散歩 No.9 「JAPAN BRAND FESTIVAL 2018」日本遺産のまち篠山で、丹波焼・王地山焼の匠が後世につないでいくもの<前編>

みなさまこんにちは! シブヤ散歩新聞・編集長の界外(かいげ)です。

2018年3月2日〜4日の3日間、渋谷ヒカリエにて開催された、「JAPAN BRAND FESTIVAL 2018」に参加してきました。「JAPAN BRAND FESTIVAL」は、組織や立場を超えて、日本発のプロダクトやサービスの魅力を発信・展開していく、現代版「楽市・楽座」だそうです。全国各地の職人さんや地域創生のプロデューサー、クリエイター等が集い、会場はとっても賑わっていました。

3日間、様々なトークや展示があったのですが、今回は

ユネスコ クラフト都市×日本遺産のまち篠山市
クリエイティブシティ丹波篠山が起こす農村イノベーション
「丹波焼・王地山焼の匠の技と篠山の美しい暮らし」

モデレーター/小山 龍介さん(日本遺産プロデューサー、株式会社ブルームコンセプト 代表取締役、名古屋商科大学大学院 ビジネススクール准教授、一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会 代表理事)
パネリスト/小山 達朗さん(篠山(ささやま)市政策部創造都市課)
市野 秀之さん(丹波立杭陶磁器協同組合 副理事、Tanba Style 渉外委員、雅峰窯 (がほうがま) 4代)
竹内 保史さん(王地山焼 陶工)
堀内 康広さん(TRUNK DESIGN 代表、クリエイティブディレクター、デザイナー)

のレポートをお伝えします◎

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日本遺産、ユネスコ・創造都市。丹波篠山の魅力とは

小山達朗さん(こやま・たつあき/以下、小山(た))
篠山(ささやま)市政策部創造都市課の小山です。みなさま、篠山はご存知ですか。丹波篠山といえば分かるかもしれません。今日は篠山市の取り組みについて、丹波焼、王地山焼の匠の技と篠山の美しい暮らしということでお話しします。

モデレーターは日本遺産プロデューサーの小山龍介(こやま・りゅうすけ/以下、小山(りゅ))さん。そして、丹波焼の市野秀之(いちの・ひでゆき/以下、市野)さん、王地山焼の竹内保史(たけうち・やすし/以下、竹内)さん、TRUNK DESIGNの堀内康広(ほりうち・やすひろ/以下、堀内)さんです。

篠山は人口4万2000人、山に囲まれた小さな町です。最近では、京阪神から多くのお客様にお越しいただいています。都市部からわずか1時間の場所に原風景が残っているのは奇跡的だと、景観の専門家からおっしゃっていただいたこともあります。

篠山の特徴のひとつとして、ふたつの重要的建造物群保存地区があります。同じ街にふたつの重要的建造物群保存地区があるのは非常に珍しいことです。

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そんな篠山ですが、2015年、「デカンショ祭」をテーマとして、日本遺産に選ばれています。「デカンショ節」は盆踊り歌として歌われる民謡で、約300曲あり、8月15日と16日には「デカンショ祭」が行われます。民謡は昔から歌い継がれているものが多い中、毎年新しい歌詞を募集しているのは珍しいと言えます。市民がつくった歌を市民が歌い、市民が踊って楽しむ。街並みの歌や丹波焼の歌もあり、様々な暮らしが歌い継がれ、これからも歴史になっていくのではないかと思っています。

実は、「丹波焼」も日本遺産に選ばれていて、篠山の中でふたつの日本遺産があるんです。正式には「六古窯(ろっこよう)」で選ばれたのですが、「丹波焼」をテーマに選ばれました。こんな風に外部の方から評価を得ることで、我々が当たり前だと思っていたものは、実はすばらしいものなんだよと教えてもらった気がします。

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もう一点、ユネスコの「創造都市ネットワーク」に加盟していることも特徴のひとつです。「創造都市」というのは、創造性な取り組みで都市を豊かにすること。現在、国内に8都市あり、篠山は工芸の都市として加盟しています。工芸や食など、今あるものが豊かであることを学び、それを活用することで街を豊かにしていく取り組みをしています。

最近、芦屋でお店を営んでいたスペイン料理屋のシェフが芦屋のお店をたたみ、篠山にいらっしゃいました。篠山の器に惚れ、篠山の食材をつかったお店をオープンしています。地元で作られた器に地元の食材を乗せて食べるということは、とても豊かな暮らしですよね。

また、地元を車で走っていると、陶芸の窯から煙が上がっているのが見え、「あ、今日はあの人が窯を焼いているな」といった息づかいが感じられます。こういった豊かさについて、私自身もこの仕事をはじめてから改めて気がつきました。私たちの生活もいつか歴史になっていく。そんな思いをもって、日々の仕事をしています。

では、ここからはモデレーターの小山さんから職人さんにお話を聞いていただきます。

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小山(りゅ)
いま、日本遺産は54件認定されています。私は日本遺産プロデューサーとして、そのうちの十数件を担当させていただき、アドバイスをしています。篠山は毎年新しい「デカンショ節」が生まれているように、守るだけでなく新しいものを生み出し続けているところが特徴です。その中でも、今日は「丹波焼」、「王地山焼」を取り上げてご紹介したいと思います。

さっそくですが、「丹波焼」の市野さん、お願いします。

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「丹波焼」の歴史は850年。平安末期から、煙を絶やさず受け継がれてきた

市野
みなさまはじめまして。「丹波焼」には60軒の窯元があり、私は「雅峰窯(がほうがま)」という窯元の4代目です。丹波立杭陶磁器協同組合の副理事長でもあり、「Tanba Style」という、「丹波焼」を心から愛しPRするための活動も続けています。

「丹波焼」の歴史は850年。平安末期から煙を絶やしたことがないのが誇りです。我々も煙を絶やすことなく将来に橋渡しをしなければならない、そのために、新しい世代に「丹波焼」を広めていこうと考えています。

「丹波焼」の窯の燃料は、すべて赤松です。「雅峰窯(がほうがま)」の窯は15メートルくらい。これくらいの規模の窯が篠山には点在していて、至る所で黒煙が上がっているのが産地の風景になっています。

人の目で炎をみながら、1300度の灼熱で作品を焼いています。「引き出し」と言って、300度くらいのものを強制的に出して冷却することにより、非常におもしろい色合いや、たのしい土味になります。炎を目で見て判断しているので、灰が溶けているか、土が焼きしまっているかを試す作業でもあります。

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職人や作家が集まって、ひとつのブランドとして立ち上げたのが「Tanba Style」。職人や作家が集まるとなかなか意見がまとまらず難しいのですが、「Tanba Style」の8人のメンバーは「丹波焼を後世につなぐために」というコンセプトのもとで、ひとつのブランドをやっています。

丹波の作風を基調につくったのが、「丹波ブラック」と「丹波ホワイト」です。スタッキングしやすく、洋食器としても使えるものを目指しました。もともと「丹波焼」は和食器なのですが、より多くのファンの方に楽しんでいただけるよう、こういった作品になりました。

2015年に、大阪駅前のグランフロントでエキシビジョンをしました。これまでは百貨店で発表することが作家の目標とされていましたが、「Tanba Style」として成し遂げたいのは、「丹波焼」を知ってもらうこと。そのため、従来とはちがう切り口で行いました。

「TS Plus」というブランドは、同じ形の器ですが、8人の職人や作家がそれぞれの技法で表現した器です。我々は作家ですから、自己表現をしたいという思いがあります。まったく同じものをつくるブランドでは作家の想いが伝わらないので、こういったブランドも立ち上げました。

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これは「雅峰窯」の小さなギャラリーです。線路沿いにあり、観光地でもあります。「丹波焼」の60軒の窯元がそれぞれ小さなギャラリーをもっていて、それも街のひとつになっています。

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これが「雅峰窯」の作品です。鎬(しのぎ)という技法を施しています。丹波特有の技法ではなく、思想家・美学者の柳宗悦(やなぎ・むねよし)さんが1920年代に提唱された「民藝(みんげい)」という教えがあり、その頃に流行った「民窯(みんよう)」と呼ばれる窯元で全国的に流行ったものです。ただ、私たちの作品は昔ながらの「民藝」ではなく、個人的には「現代民藝」と呼んでいるのですが、芸術や歴史を重んじつつも、自分なりのやり方で装飾しています。

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これは私、市野秀之個人の作品です。こういった作品で、東京でも個展をしています。個人としての作家活動もしつつ、「丹波焼」を後世につなげていく活動も大切にしていきたいと考えています。

小山(りゅ)
続いて、「王地山焼」の竹内さん、お願いします。

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30年前に復興。青磁、赤絵、染付など、磁器で様々な表現をしてきた「王地山焼」

竹内
江戸時代末期の篠山藩主が京都の陶工を呼んで焼かせたのが、「王地山焼」のはじまりです。

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青磁、赤絵、染付など、磁器で様々な表現をしてきました。850度で焼いた土型に素地を押し当てて成形するのが「王地山焼」の特徴です。篠山市が30年前に復興し、それに興味をもったことから王地山焼をやっています。

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私が得意としているのは、コンパスで下書きして模様にした鎬の作品です。青磁は基本的に透明釉なので、くぼんだところに釉薬が溜まって色が濃くなり、でっぱったところは薄くなって、模様が出てきます。

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小山(りゅ)
一方で、この「王地山焼」に現代的な解釈を加えて、現代の食卓に合うデザインをしているのが堀内さんです。

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王地山焼の本質を見つめ、現代の食卓に合うプロダクトをデザイン

堀内
神戸でTRUNK DESIGNというデザイン事務所をやっている堀内です。企業のブランディングや兵庫県の伝統工芸、地場産業のプロデュースやプロモーションをやっています。

去年の今頃、篠山市役所の小山さんから「一度、王地山焼を見に来てほしい」とご連絡をいただきました。城下町に行ったこともありますし、「丹波焼」も知っていたのですが、その近くで磁器が焼かれていることは知りませんでした。

それから、1ヶ月に1回くらい竹内さんの工房に伺って、打ち合わせをしました。そして、2018年2月、1年間かけて一緒に開発を進めた作品が、表参道のギャラリー「スパイラル」でデビューしました。

工房におじゃまして、自分たちがほしいものを探すところからスタートしたのですが、竹内さんと仲良くなることを半年くらい続けていましたね(笑)。仕事柄、いろんな職人さんと一緒に仕事をしていますが、必ず関係性の構築からものづくりを進めています。そういった中で、「王地山焼とは」という定義について議論しながら、作品をつくっていきました。

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最終的には、今の生活シーンで使いやすいものとして、お皿と蕎麦猪口、カップ、お茶碗、スープボウル、ちょっと大きな丼にも使えるボウルをつくりました。技法としては、鎬、面取り、何も削らないフラットの3種類、色は青磁と白磁の中間にあたる青白磁、白磁、青磁の3色。3色3技法なので、ひとつの形で9種類。全部揃えると81種類もあります。すべての技法と釉薬をプロダクトで伝えられるようなシリーズにしたかったんです。

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伝統を活かしながら新しいものに挑戦していくことは、奇抜なことをするのではなく、使いやすいものにアレンジすることです。チェンジするのではなくシフトするような考え方で僕はデザインをしています。

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少し長くなったので、続きは<後編>にて! この後、竹内さんと堀内さんの間に、おもしろい事件?!が起こります(笑)

渋谷イベント散歩 No.10 「JAPAN BRAND FESTIVAL 2018」日本遺産のまち篠山で、丹波焼・王地山焼の匠が後世につないでいくもの<後編>

【Tanba Style】
https://tanbayaki.net/

【時間をうみだす移住雑貨®「ニライカナイ自由が丘」】
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘3-6-10
東急東横線・大井町線「自由が丘」駅 正面口より徒歩7分
http://www.nirai-kanai.shop/

界外亜由美(かいげ・あゆみ)

kaige200x250シブヤ散歩新聞・編集長。クリエイティブ・ディレクター/プロデューサー/コピーライター。三重県の伊賀市、忍者の里出身。ちなみに、界外(かいげ)は本名です。東京に来て10数年目。いつ来てもワクワクする渋谷の街が好き(いまだに渋谷駅で迷う。方向音痴……)。興味のあるジャンルは料理、酒、発酵、お笑い、短歌、絵本、子育て。シブヤ散歩新聞ではレアキャラ的頻度で執筆予定。
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