しぶキャラ散歩の2回目は「おもてサンド宣伝部長 たぬ」(以下、たぬと呼びます)です。「地元のためなら皮算用なしで、一皮でも二皮でもぬぐたぬ」が口癖の、地元愛に満ちたキャラクターです。
地元の名所・明治神宮に住むタヌキがモデル
たぬが誕生したのは、2007年。生みの親はウェブ制作会社のハッカ・インターナショナルでホームページ作成を担当している奥村典子さん。会社が四谷から神宮前に引っ越して来たあと、地元となった表参道・原宿エリアの情報発信サイト「おもてサンド」を立ち上げた際に、レポーター役のメインキャラクターとして考案されたのがたぬでした。つまり、はじめはイラストのキャラクターとして登場しました。
なぜタヌキなのかというと、地元の名所・明治神宮の杜に今でも生息しているという野性のタヌキが念頭にあったため。
お話を伺った、奥村さん
「最初は落書きみたいなものでした」と語る奥村さん。イラストを描くにあたっては、表参道交差点にある焼物屋さん・ことぶきやの前にある信楽焼のタヌキも参考にしたとのこと。その後、手作りのぬいぐるみにもなり、たぬ友の「サンド」と一緒に活動するようになります。
この2Dのイラスト・キャラクターとして誕生したたぬが、3D の着ぐるみキャラクターとして大きく成長したのが、2013年。このときからプロフィールを公開するようになったのですが、そのプロフィール設定の際に協力してくれたのが、たぬ誕生のモデルとなったタヌキが住むとされる明治神宮でした。たとえば、鳥居の前で応募したゆるキャラグランプリの宣伝用写真を撮影させてもらいました。ただし鳥居の先は神域のため、ペットなどの動物の連れ込みがNGということもあり、境内での撮影はできませんでした。
「 おもてサンド宣伝部長 たぬ 」プロフィール(たぬフィール)
http://www.omote-sando.info/event/5292
ゆるキャラとしてつながる、地元とのご縁
タイに出国するたぬ
日本に帰国したたぬ
2013年に「タイ修行」を終えて大きな成長を遂げ、着ぐるみキャラクターとなった、たぬ。日本でのデビューの場所は成田空港となりました。タイ修行で何をしてきたのかといえば、この着ぐるみ、じつはタイにあるイベント関連会社で製作されたものなのです。
世界キャラクターさみっとin羽生に参加
3Dとなったたぬは、2D時代からのおもてサンドのレポーターとしての仕事に加えて、表参道、原宿、青山、渋谷など、ご当地のイベント活動と同時に、ゆるキャラグランプリや「世界キャラクターさみっとin羽生」など、全国的なイベントにも参加するようになります。
しかしながら、体が大きくなってしまったたぬは、自動車などに乗り込むのもひと苦労。しだいに遠征は控えるようになりました。
それでも努力のかいあって、地元のイベントでは毎年お声がかかるように。こうして、地元との深い御縁ができました。

金王八幡宮にて
その代表が渋谷にある金王八幡宮の例大祭。こちらには毎年レギュラー参加しており、桜まつりや節分にも参加することがあるそうです。
こどもに大人気のたぬ。青山高樹町町会餅つき大会にて
また青山高樹町町会さんとも深いご縁ができて、餅つき大会やこども祭に参加するようになりました。その他にも、表参道善光寺の盆踊り大会、原宿穏田神社の夏祭りなど数多くの地域祭に参加してきました。
代々木公園サンタクロースクリーンアップのようす
こうした地域のお祭りにくわえ、「代々木公園サンタクロースクリーンアップ」などを通して清掃活動も。もはや、地元愛が止まらない、という感のあるたぬです。
このように、地元に密着したイベント活動で活躍するたぬ。昨年から東京商工会議所渋谷支部主催のしぶキャラ会議に参加しています。
東京商工会議所HP
「第1回しぶキャラ会議」を開催しました
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=91810
「第2回しぶキャラ会議」を開催しました
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=109516
これは、ふるさと渋谷フェスティバル内での催しですが、さらに遡ると、「渋谷区くみんの広場 ふるさと渋谷フェスティバル2015」では一日渋谷観光大使に抜擢されました。
ファン特製の名札をつけて。金王八幡宮にて
イベントでは特に子供たちにとても人気があるそうですが、なかには、たぬのために名札を手作りしてくれた成人男性の方などもおり、熱烈なファンを獲得しています。イベントに出ると、「たぬがいるだけで人が集まってくる。無名のゆるキャラでもこれだけ人気があるなんて、ゆるキャラって、やっぱりすごい」と奥村さんも実感されるそうです。
さらに、こうした地元でのイベント参加を通じて、他のしぶキャラとも仲良くなれたといいます。
10年間に及ぶたぬの活動を通して、いちばん印象深かったことは何かを奥村さんにお伺いしたところ、さまざまな苦労はあったものの、「やはり、いちばんよかったのは地元との深いご縁ができたこと」とおっしゃられていました。
ちなみに、たぬ関連のグッズがおもてサンドのオンラインショップで購入できるのですが、こうしたグッズがもっとも売れるのは、むしろ地元でのイベント直売とのこと。
いろんな「たぬグッズ」
たぬバッジはヴァリエーションも豊富!
たぬグッズのECサイトはこちら
おもてサンド公式オンラインショップ
https://omote-sando.stores.jp/
マルチメディアで活躍するたぬ
こうした地元での活動が多いたぬですが、同時にテレビ番組への出演をはじめ、ゲーム、アニメなど多方面で活躍しています。
ゲームにも登場するたぬ
ゲームでは「コレキャラ 〜 ご当地キャラクターコレクション」に登場、また自主製作のwebアニメ「ももん’ず さんどうぃっち」には、主人公のももんちゃんになついているこどもタヌキという設定で、たぬが登場しています。こちらはアニメ好きの方から、かなりの反響があったとのことです。
おもてサンドオリジナルアニメ「ももん’ず さんどうぃっち」
http://www.omote-sando.info/momon/momon.html#.WhU0SLbAPN0
おもてサンドの更新停止!今後のたぬは?
さて、本記事に何度も名前が登場してきたおもてサンドですが、残念ながら、昨年の2016年12月31日をもって9年間続けてきた更新を終了することに。
「もう、たぬには会えないの?」と不安に思ったファンの皆さま、心配は無用です。これからはFacebook、Twitter、Instagramに活動の場を移し、たぬの地元情報の発信は続いていきます。ちなみに、おもてサンドのサイトも、更新を停止しただけで、サイト自体は現在も公開中。
表参道・原宿エリア情報「おもてサンド」
http://www.omote-sando.info/
おもてサンドとは
http://www.omote-sando.info/about
Gabaの電車広告に表参道を代表して出演
じつは、たぬ自身もたぬ界での修行のため、活動量を抑えていました。ところが、不思議なもので、活動を減らした矢先、やはり地元の表参道にも教室を展開している英会話のGabaさんの、電車広告に出演することに!
ただし、プロフィールによるとたぬ自身は英会話が苦手。理由は、語尾などにどうしても「たぬ」が入ってしまうため(笑)。
今後も地元に密着した活動を継続していく予定のたぬ。最後に、ファンの皆さまへのメッセージをいただきました。
「たぬにちわ。おもてサンド宣伝部長たぬたぬ。これからも、よろたぬお願いしますたぬ」
◎今後のたぬの活動の場はこちら
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イト・タクヤ
フリーライター。歴史、神社・仏閣めぐりが好き。基本は部屋に引きこもり、たまに渋谷区内を徘徊。「普段は渋谷の街を歩くことのないシブヤ初心者」として、常にフレッシュな視点からの執筆を心掛けている。というか、事実そうなので、そういう文章しか書けないというのがホンネ。シブヤ散歩新聞では、シブヤ坂散歩をはじめ、渋谷の街の歴史や文化等にまつわる記事を担当している。