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CULTURE

渋谷レジェンド散歩No.6 江戸の粋を現在に伝える、小さな扇子の豊かな世界(前編)

渋谷レジェンド散歩とは
渋谷の街で、数十年。人々に愛され続けた歴史を誇るお店や会社をご紹介するのが、「渋谷レジェンド散歩」です。渋谷といえば「若者の街」といわれますが、実は、長きにわたって活躍している人や商品、サービスがたくさんあります。そんな渋谷の意外性ある魅力をお届けしていきます。

東急百貨店本店やBunkamuraのあるあたりが、かつて「百軒店(ひゃっけんだな)」と呼ばれていたことをご存知ですか? 専門店が軒を並べ、渋谷いちばんの繁華街ともいえるにぎわいを見せていたそうです。そんな旧百軒店エリアに50年前からお店を構え、扇子を中心とした日本舞踊の小道具を扱う「宝扇堂」さんにおじゃましてきました。

扇子は「いちばん小さな舞台装置」

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日本舞踊をよく知らなくても、きらびやかな衣装をまとって扇子を片手に優雅に舞う姿をイメージする人は多いのではないでしょうか。舞台用の扇子を中心に扱うお店がなんと渋谷にある、と聞いておじゃましたのが、東急百貨店本店近くにある「宝扇堂」。50年の歴史をもつお店です。

「踊りの扇子、近くでご覧になったことありますか?」
社長の福島さんに、本番の舞台で使う扇子をいくつか見せていただきました。

水墨画のような力強いタッチで松の木が描かれたもの、金銀で抽象的な柄が描かれたもの、様々です。
柄には何か決まりがあるのでしょうか。

「演目ごとにだいたいの決まりがあります。たとえば、連獅子という演目には、金箔地に墨絵の牡丹の花の柄などを多く使います。」

扇の柄は、演目によって長い歴史の中でつくられてきた決まりごとのようなものであり、舞台では、演目に合わせた柄のものを使うのだそうです。扇子は、演目の世界観を表現するためのいちばん小さな舞台装置といえそうです。

完成まで1ヶ月以上!何工程も重ねてつくられていく扇子の美しさ

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それにしても、「小道具」と言ってしまうにはもったいないほどの美しさ。それもそのはず、1本1本、職人さんが手描きで描いているのだそう。その贅沢さに、思わずため息がもれます。

扇子の形に仕上げる前の、地紙の状態のものを見せていただきました。
「地紙は手すきの鳥の子の和紙に色を染めてから、切り箔や砂子をふったり、その上に絵付けをしたりしています。」と福島さん。1本の扇子を仕上げるまでには何工程もあり、1ヶ月以上かかるのだそうです。
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「絵付けした後に紙を折っていくんですが、その時に紙を湿らせます。そうすると、色が浮いてきたり落ちてしまったりすることもある。だから職人さんはみんな、自分だけの顔料の配合の仕方を持っています。秘伝のたれみたいなものですね。」と、福島さん。
地紙を正確に綺麗に折るのにも、とても技術がいるのだそうです。

「絵が上手く描けても、扇子に向く絵を描ける人というのは、実は少ないんです。」

日舞に落語に能、狂言。扇子は日本文化の要

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日本舞踊以外にも扇子を使う芸能がいくつもあることを、福島さんに教えていただきました。

「この赤地に柄がついているのは『中啓』といって、お能で使います。」

そのほかにも、狂言や仕舞で使う扇や、高座扇といって落語家が使う扇子、歌舞伎役者が襲名披露の時に使う名入りの扇子など、お店で扱っている扇子の種類はさまざま。日本の芸能の様々な場面で、扇子がなくてはならない存在であることがわかります。

日常づかいに、贈り物に。江戸の粋を伝える扇子を

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華やかな京扇子に対して、江戸前の扇子はシンプルですっきりしたデザインが特徴です。
いくつも見せていただいているうちに、わたしも一本ほしいなあ、という気持ちがむくむくと湧いてきました。
ここ数年、暑さをしのぐためにバッグの中に扇子をしのばせている人も増えています。
あの〜、一般向けの販売もあるんですか?

「もちろんありますよ!そうだなあ・・・これ、わかりますか?」
と出していただいたのは、ひょうたん柄の扇子。小さく馬とさいころが描かれています。

「そう、『ひょうたんから駒』です。馬もさいころも、『こま』って言いますね」。勉強になります!

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売れ筋は、渋塗りの艶やかさが印象的なこちらの扇子。どこかで見たことがあるような気がします。
「時代劇見るかただとわかるんですが・・・『鬼平犯科帳』の鬼平さんが持ってる扇子です。かっこいいでしょう?」
はい、見覚えがありました(笑)。
男性を中心にとても人気があり、これを買うために、わざわざ遠方からお客様がいらっしゃるほどなのだそうです。

「オリジナルの扇子を1本からご注文いただくこともできますよ。贈り物にもおすすめです。ちょっとほかにないでしょう?」とおすすめいただきました。贈ってみたい・・いや、自分でも欲しい! そんな気持ちになってきます。

さりげないデザインがいい!干支の扇子がおすすめ

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たくさんの扇子を見せていただいた中で、個人的にいちばん惹かれたのはこちらの干支(えと)扇子。干支に合わせて、毎年数種類ずつ販売されているのだそうです。
それぞれ、なに年のものかわかりますか?

上はさる年、下はひつじ年です! キャラクター的でない、粋なデザインは、服装や場所を選ばず使えそうです。
干支扇子は、毎年10月から販売がはじまります。店頭のみの販売となるそうですので、気になるかたはぜひ宝扇堂さんへ足を運んでみてくださいね!

次回、「渋谷レジェンド散歩No.6 江戸の粋を現在に伝える、小さな扇子の豊かな世界(後編)」では、変わり続ける渋谷の街を見つめる宝扇堂さんの思いや日本舞踊の魅力について、詳しくお伝えします。

【店舗情報】
宝扇堂
東京都渋谷区道玄坂2丁目25−3
TEL/03-3462-1263
営業日/月曜日〜土曜日
営業時間/10:00~18:00
(営業時間は日によって異なることがあります。ご来店前にお問い合わせください)
オンラインショップ 渋谷寶扇堂
https://housendou.shop-pro.jp/

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